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【適用事例】パーティクルシミュレーション(DEM)で食品加工における課題を克服(その1)

皆さま、こんにちは。

IDAJのRocky DEMプロダクト担当の河口です。

前回の農業機械分野の事例紹介に続いて、今回は、パーティクルシミュレーターRocky DEMの食品加工分野での適用事例をご紹介します。

 

ご存じの通り、様々な業界で工業製品を開発しているメーカー様では、エンジニアリングシミュレーションを開発プロセスの中で駆使して、従来よりもロバストで、エネルギー効率とコスト効率の高い設計開発に取り組まれています。その中での重要な項目の一つが、設計サイクルの初期段階で、大規模な変更コストが発生する前にバーチャルエンジニアリングを適用することです。

食品加工業界は他の分野とは異なる独自の課題を抱えてはいますが、早期にシミュレーションを行うことで恩恵を受けることができることは変わりません。

革新的な食品加工技術を開発する際には、シミュレーションは、製品の品質と安全性を向上させるだけでなく、運転パラメータを検討して最適化するための重要なツールとなり得ます。

 

 

 

食品加工業界でのチャレンジ

食品加工には、コンベアベルト、ミキシングドラム、造粒・調味プロセス、食品粒子を分解する破砕機、包装、最終製品の最適化など、さまざまな機器と加工技術が組み込まれています。業界を牽引するような企業様では、今でもプロセス効率の最適化に細心の注意を払っていらっしゃいますが、それでも十分すぎるということはありません。エンジニアの方々は、最終製品の混合と均質性の向上を研究し、混合不良を改善することを常に望まれています。システムレベルやコンポーネントレベルの検証では、粒子の萎縮や破損の検討、コーティングスプレーパターンの分析、コンベアのローディング・アンローディングパターンと流量の調査など、様々な検証を実施しています。

典型的な食品加工業界でのDEMシミュレーションの例:湿って粘り気のある大麦の搬送シミュレーション(左)、材料の均一なコーティングシミュレーション(右)

典型的な食品加工業界でのDEMシミュレーションの例:湿って粘り気のある大麦の搬送シミュレーション(左)、材料の均一なコーティングシミュレーション(右)

 

加工食品業界で共通しているニーズは、個々の粒子や集合体の粒子が、それぞれ異なる形状(ほとんどの場合が非球形)をしていて、どのように相互作用するか、また混合、コーティング、投入、選別、乾燥、包装のために設計された装置がどのように現実的に動作するかを予測することです。

離散要素法(DEM)を実行するシミュレーションツールは、実験や理論を補完することができます。また、特に設計初期段階でシミュレーションを使用することで、コスト削減と市場投入までの時間を大幅に短縮することが可能となります。

 

Rocky DEMは離散要素法(DEM)を用いたパーティクルシミュレーターで、非常にパワフルで、かつユニークな機能を有しています。食品加工業界での粒子挙動シミュレーションの事例のご紹介とともに、Rocky DEMのパワフルでユニークな機能をご紹介したいと思います。

 

非球形粒子と非剛体粒子

Rocky DEMは、他のツールでは取り扱いが難しい非球形粒子の取り扱いが可能です。さらにこれまでのDEMシミュレーションでは、粒子は剛体であることが前提でしたが、Rocky DEMでは粒子の弾性変形を許容します。

本例では、非球形ソリッド要素(ベアグミ)、シェル要素(ポテトチップス)、フレキシブルファイバー要素(パスタ)、フレキシブルシェル要素(布)が落下してきた様子をシミュレーションしています。

ソリッド要素は3次元CADデータまたは3Dスキャンデータを入力して、任意形状の粒子としてシミュレーションで活用することができます。

<Rocky DEMで取り扱うことができる粒子タイプ>

 

強力なモーションカーネル

Rocky DEMは強力なモーションカーネルを搭載しており、通常では必要となる外部の機構シミュレーションツールにカップリングすることなくマルチダイナミクスシミュレーションが可能です。

上記のホイールクラッシャーの例では回転するホイール上に供給された粒子が、破砕モデルによって粉砕されますが、粒子と装置の接触により加わる力のクラッシャーの自重との釣り合いで、すり潰し部である円錐部が自由運動をして上下運動および回転運動をしている様子がお分かりいただけると思います。ターンテーブル側には回転速度を与えています。

 

<ホイールクラッシャー>

 

 

強力な破砕モデル(Breakage Model)

Rocky DEMは、複数の破砕モデル(Breakage Model)を有しています。Rocky DEMの破砕モデルは、質量保存と体積保存をキープし、法線や曲げ、せん断、ねじりといった粒子や装置側にかかる力を評価するために使用することも可能です。

下記のウッドチッパー(木材切断機)とポテトチップのシーズニングドラムのシミュレーションでは、ソリッド要素ではなく、それぞれファイバー要素とシェル要素で枝とポテトチップスをモデリングしていますが、Rocky DEMの破砕モデル(Breakage Model)は、ソリッド要素だけではなくこれらの事例のようにファイバー要素やシェル要素にも適応が可能です。

 

<Wood chipper(木材切断機)のシミュレーション>

 

<ポテトチップスのシーズニングドラム内でのシミュレーション>

 

Rocky DEMによるソリューションが、食品加工分野での機器開発に携わるエンジニアの方々の一助となり、ひいては食糧問題の解決に少しでもお役立ていただければ幸いでございます。

次回も引き続き、食品加工業界でのRocky DEM適応例をご紹介させていただきます。

 

 

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