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離散要素法(DEM)を用いた搬送シュート設計の改良

 

皆さま、こんにちは。

IDAJの中嶋です。

 

今回は、パーティクルシミュレーター「Rocky DEM」の開発元である、ESSSが公開しているBLOGの内容を翻訳してご紹介します。

 


 

シュートは、バルク材を、あるコンベアベルトから別のコンベアベルトに搬送する方法として、搬送システムで採用されています。広く使用されてはいるものの、設計が粗悪なシュートや、元の設計条件とは異なる条件下(トン数の増加、異なる粒子材料、湿式材料など)で使用されたシュートでは問題が発生しやすく、生産性の低下や保守コストの増加、摩耗率の高さ、または使用中止にさえつながる可能性があります。

シュートの問題で最もよくあるのが、詰まり、極端なシュートやベルトの摩耗、不均一な流量分布によるベルトのずれ、過度な粉塵の発生です。

これらの問題を回避し、粒子の流れを制御するためのシュートの設計ガイドラインはもちろん存在します。しかし、現実はと言えば、見事に設計されたシュートでさえ、プラントではボトルネックとなってしまうことがあるのです。生産の増加あるいは材料構成の変更など、標準的な運転の切り換えは、たとえそれが小さな変更であっても、それまで完璧に運転していたシュートにおいて突然、問題が発生する原因となる場合があります。

これは、シュートの運転に影響を与える要因が数多くあるためです。シュートを設計するエンジニアはたいてい、以下のような、かなりやっかいな問題をいくつか考慮しなければなりません。

  • 粘り気のある材料の場合、粒子流と搬送形状間のインパクトを最小にする最適な角度は?
  • デフレクター板を使えば、材料の荷重が中心に集まり、ベルトがずれたり、ベルトから材料がこぼれたりするのを減らせるだろうか?
  • シュートでの詰まりを引き起こさずに、どこまでトン数を増やせるだろうか?受け取り側のベルトの速度はどの程度上げるべきだろうか?
  • 内部摩耗ライナーを含むスカートの設計を変更するか、積載領域にダストカーテンを千鳥配置するなどして、ダストコントロールの必要性を削減することはできるだろうか?
  • 元は乾燥材料を扱うように設計されたこのシュートを、何の変更も加えずに、予想以上に湿った材料を搬送するのに使用できるだろうか?
  • この粘性材料を扱うために、簡単に加えられる小規模な変更はあるだろうか?

離散要素法(DEM)はどう役立つのでしょうか?

Rocky DEMは、さまざまなシナリオでシミュレーションを行い、エンジニアが搬送シュートを設計・最適化するのをサポートし、異なるコンフィグレーションを構築・テストするためのコストを削減します。以下の動画では、位置変更可能なシュートが、コンベアベルトに積載する場合のシミュレーションをRocky DEMで行ったものです。

 

Rocky DEMによる、位置変更可能なシュートがコンベアベルトに積載するシミュレーション

 

実際に使用される材料を最も良好に反映するように、DEMパラメータを調整するためのキャリブレーションテストを数回行うことで、ユーザーは、異なる設計のうち最も良好な候補を選んで、以下の動画に見られるような閉塞や詰まりを回避することができます。

 

Rocky DEMによるシュートの詰まりのシミュレーション

 

付着と形状の表現

実際の粒子は完全な球形ではなく、凹凸のある形状です。凝集体を形成する場合もあれば、シュートの壁面やベルトにくっつくこともあります。Rocky DEMが提供する付着モデルに、正確に表された形状を組み合わせれば、ほとんどのタイプの材料を扱う環境のシミュレーションが可能です。以下の動画は、湿式で粘り気のある鉱石粒をシュートから落とす様子を示しています。

 

Rocky DEMによる、湿式で粘り気のある材料を扱う搬送シュートのシミュレーション

 

CPU/GPU処理 ~トン数が大きい?粒が小さい?粒度分布が複雑?~

Rocky DEMは、CPUおよびGPUの並列処理を活用することで、規模の大きなシミュレーションをかなり高速に行うことができます。この能力によって、シュート設計に離散要素法(DEM)を広く適用する際の主な制約の1つであった計算コストが克服されました。下図は、CPUおよびGPUソルバーを用いて、100万の粒子のシミュレーションを行った場合の実行時間の比較を示しています。

100万の粒子を使ったRocky DEMシミュレーションでのCPUとBPUの実行時間の比較

100万の粒子を使ったRocky DEMシミュレーションでのCPUとBPUの実行時間の比較

 

装置設計者の使用目的に合うようカスタマイズ

さらに、Rocky DEMにはいくつかの結果処理オプション機能が搭載されており、シミュレーションから必要な情報をできる限り容易に抽出できるようになっています。例えば、搬送シュート上のせん断摩耗を表すのにカラーマッピングを用いています。また、荷受けベルトの幅にそった平均せん断摩耗および衝撃度の解析には、グラフ形式を使用しています。

 

Rocky DEMによる、せん断摩耗を示すシミュレーション

 

荷受けベルト幅にそった平均せん断摩耗、衝撃度

荷受けベルト幅にそった平均せん断摩耗、衝撃度

 

Rocky DEMとAnsys Mechanicalの連成

Rocky DEMをAnsys Mechanicalと連成させると、シュート構造に与える粒子流れの衝撃を解析することができます。この方法により、ユーザーはシュートの設計を最適化して、目標とする材料流れを達成するだけでなく、構造上の変形と応力を最小化することができます。

 

Rocky DEMとAnsys連成による、シュート構造に与える粒子の衝撃を示すシミュレーション

 

出典:(一部編集して翻訳)Using DEM to improve transfer chute design

2016年12月14日公開


 

パーティクルシミュレーター Rocky DEM

 

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