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実験!独特な形状の粒子をスキャンしてシミュレーションしてみよう

皆さま、こんにちは。

IDAJの中嶋です。

 

今回は、パーティクルシミュレーター「Rocky DEM」の開発元である、ESSSが公開しているBLOGの内容を翻訳してご紹介します。

 


 

さて、Rocky DEMを用いた解析では、より正確な粒子形状を用いたシミュレーションができるというメリットがあることはご存知の通りです。

早速ですが、サンプルとなる粒子と3Dスキャナーの準備はよろしいでしょうか?素晴らしい!

それでは、これから粒子形状をスキャンし、その形状を用いたシミュレーションにトライしてみましょう。

私が働くオフィスで、3Dレーザースキャナーがありましたので、テストしてみました。

建物の周りを探して歩くと、目的にうってつけの“興味深い”石を見つけることができました。つまり、この石は、次に挙げる条件すべてを満たしていたのです。

  • Rocky DEMのデフォルトの形状で表すことが容易でない
  • 凹形状の面がある
  • スキャナーの土台に置くのに十分平らな面がある
  • スキャナー用に適したサイズである

このサンプル石(下図左)を失敬した後、地元の食料品店から2つ目の興味深いオブジェクトも手に入れました。殻なしピーカン半分(下図右)です。

 

左:見つけた石 右:粘土の土台に置いたピーカンの半分

左:見つけた石、右:粘土の土台に置いたピーカンの半分

 

それぞれのオブジェクトをスキャンして、Rocky DEMで読み込むことができる.stlファイルにエクスポートしました。精度をコントロールするため、次の2つの出力オプションを使っています。[Octree Depth]と[Octree Degree of Fit]です。

Octree Depth

このオプションでは、オブジェクト全体を覆う単一の大きい立方体を基準として、オブジェクトを測定するのに使用されるより小さい個々の立方体のサイズを指定することができます。オクツリーの深さとそのプログラム方法については多くの文献がありますが、手始めにStanford Bunnyを用いたこの例が良いと思います

Octree Degree of Fit

このオプションでは、定義されたオクツリー点の多項式フィッティングの程度を指定することができます。設定範囲は、二次から五次まで。フィッティング度の設定により、pecan .stl ファイルに若干の変化が見られました。これは、表面変化の振幅が、ピーカンそのもののサイズに対して高いためです(下図参照)。

ピーカンのオクツリーレベルのクローズアップ画像

ピーカンのオクツリーレベルのクローズアップ画像

 

次に、これらの設定を何通りか試し、オブジェクトの節点と面の数が多いほど、解像度が良くなることを示す分解能行列を見つけました。

 

さまざまな節点と面の数におけるサンプルオブジェクトの分解能行列

さまざまな節点と面の数におけるサンプルオブジェクトの分解能行列

 

 

私が使用したスキャナーでは、非常に複雑な形状では限界があることがわかりました。ピーカン解像度を最も高く設定したスキャンでも、明らかにへこみやくぼみが不十分です。

左:実物の画像、中央:くぼみの位置、右:高解像度でスキャンされたオブジェクトにくぼみは見られない

左:実物の画像、中央:くぼみの位置、右:高解像度でスキャンされたオブジェクトにくぼみは見られない

 

スキャンされたオブジェクトのサイズに対して、奥行きの深い表面特徴の複雑さを正確に捉えるには、スキャニングのメカニズムにもっと自由度が必要です。

私が使用したスキャナー装置の写真からお分かりのように、このモデルでは、オブジェクトを回転させたり、撮影装置を上下に移動させたりすることができます。これは、比較的丸いオブジェクトをとらえるには非常に適していますが、凸面が多いオブジェクトの場合には限界があるか、実際のイメージをとらえるには、なんらかの工夫が必要となります。

 

この実験で使用した粒子スキャナー

この実験で使用した粒子スキャナー

 

スキャンした形状が高精度であるメリットは、その粒子形状を用いたシミュレーションの際に、粒子の挙動がより現実に近くなることです。

球状に表されたものを用いて転がり抵抗を求める実験を行う場合とは対照的に、実際の形状は転がらないか、または自然に転がります。また、接触表面がよりリアルであるため、シミュレーションにおいて境界と他の粒子との接触力がより正確になります。そのため、実験結果に合わせるために、意図的に球形の摩擦係数を変更する必要がありません。

スキャンした形状を使うデメリットは、節点と面の数がより多い高解像度粒子を生成するには、どうしても時間や計算負荷がかかることです。ですから、精度と処理時間のバランスをとることが大切です。一般的に、設計に用いる三角形の数をできるだけ減らした上で、なお形状を適切に表す均一メッシュとなることを目指すのが良いと思われます。

以下のピーカンの山は、スキャンしたピーカン形状の粒子を用いて私が作成しました。

ご自分の業界で、より正確な粒子形状を用いる適用例にはどのようなものがあるでしょうか?!

 

 Rocky DEMでシミュレーションしたピーカンの山

Rocky DEMでシミュレーションしたピーカンの山

 

 

出典:(一部編集して翻訳)Scanning and simulating unique particle shapes: an experiment

2016年6月1日公開


 

パーティクルシミュレーター Rocky DEM

 

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