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海外ユーザーインタビュー:ケープタウン大学で粒子挙動のシミュレーションにRocky DEMを活用

 

皆さま、こんにちは。

IDAJの中嶋です。

 

今回は、パーティクルシミュレーター「Rocky DEM」の開発元である、ESSSが公開しているBLOGの内容を翻訳してご紹介します。

 


 

南アフリカ共和国のケープタウン大学(University of Cape Town、UCT)の教授であり研究者であるDr. Indresan Govenderにインタビューし、彼のチームがどのようにRocky DEMを使用してきたのか、またそのメリットについて伺いました。

 

UCTではなぜ、粒子挙動のシミュレーション、特に離散要素モデリング(Discrete Element Modeling、DEM)ソフトウェアを用いて研究を開始することにしたのでしょうか?

 

Dr. Govender私たちの研究の大部分は、ミル、サイクロン、スクリーニング、破砕、浮遊選鉱などの鉱物処理装置にフォーカスしています。これら選鉱システム内の流れと散逸を理解するための鍵は、その根底にある“レオロジー”にあります。

レオロジーをより良く理解するには、流れを支配する応力とひずみ速度を詳細に測定することが求められますので、離散要素法(DEM)は、このような「測定」を可能にする最良のツールと言えるでしょう。選鉱システムが持つアグレッシブな性質によって、従来の測定手法では役に立たないからです。

 

DEMシミュレーションは、UCTでの研究と技術革新にどう貢献しているのでしょうか?

 

Dr. Govender私たちは現在、離散要素法および放射性映像による補完的な流れの測定を用いて、粉体レオロジーの理解を深めています。離散要素法は、応力、ひずみ、電力密度の散逸について重要な情報を提供してくれます。Rocky DEMは、リアルな形状を含めて理論を拡大させるのに役立つでしょう。

 

UCTではなぜRocky DEMを選ばれたのでしょうか?

 

Dr. Govender理由は極めて単純です。Rocky DEMが妥当な形状を扱える唯一のDEMパッケージだからです。

他のパッケージは、球形を集合させて無理に形状を作成しています。Rocky DEMの特徴的な利点は、リアルな粒子形状とGPU計算への拡張機能です。このGPU計算が、時間という観点から、リアルなシミュレーションを容易にしているのは確かです。例えば、ミルのシミュレーションですと、CPUでは4秒の回転シミュレーションを実行するのにかかるのと同じ時間で、GPUでは100秒の回転シミュレーションを行うことができるのです。

 

Dr. Govenderのプロジェクトにおいて、Rocky DEMを用いることで、何か、著しく向上したものはありますか?

 

Dr. Govender私の多くの研究プロジェクトの主要な目的は、粒子流れ系における応力分布を理解することです。現実的で正確な応力分布を得るためには、粒子集合体のさまざまな構成要素がどのように分布しているかを知ることが非常に重要です。

例えば、大きさの異なるスチールボールと、こちらも大きさの異なる貝殻から成る系の場合、貝殻が受ける応力を正確に予測するには、貝殻の空間分布を予測できなければなりません。しかし、空間分布は分離と密接に関係しています。そして分離はというと、粒子形状に関係しています。こうなると、Rocky DEMは、粒子形状を正確に描写できるという点で、他のどのソフトウェアよりも優れていま超二次関数でさえ、貝殻の非対称の形状と輪郭を捉えられないのですから。

これらの出力を、現在の自分の連続体モデルと組み合わせて使用して、破砕に先行する、リアルな応力分布を予測します。

 

数値モデルはどのように検証されていますか?

 

Dr. Govender私のチームは、粒子系と流体系の運動学と流れの測定において、世界をリードしていると言ってよいでしょう。

検証には2つの放射性映像手法を用いています。ポジトロン放出粒子追跡(Positron Emission Particle Tracking、PEPT)法と、2方向X線撮影法です。これら放射性映像手法を用いることで、粒子流れ系内の任意の粒子タイプ(直径が20マイクロメートル超)の、3次元の軌道場、速度場、濃度分布を追跡することができます。これらの粒子は実物の粒子であるため、離散要素法のデータよりも価値のあるものとなります。

取得した情報を用いれば、同等の離散要素法シミュレーションから運動学的情報を検証することが可能になります。前述の手法や解析法は、私や、このPEPT設備を使用する他の研究者たちによって広く公開されています。運動学的情報の検証の後は、この測定された運動学的情報を、現在の私の連続体モデルと組み合わせて、実際の粒子流れ系の応力・ひずみ分布を求めます。この情報はすべて、同等の離散要素法シミュレーションからも導出することができます。

2つのデータセットの比較は自然と厳密な検証作業に至ります。離散要素法の妥当性が確認されたということが、潜在的な顧客がRocky DEMを購入する主な理由ではないでしょうか。

 

回転ミル内の粒子流の標準的PEPT測定

回転ミル内の粒子流の標準的PEPT測定

 

 

Pythonプログラミング言語を使って、機能の一部をカスタマイズすることが可能な商用ソフトウェアパッケージを手にすることの重要性とは何だとお考えですか?

 

Dr. GovenderほとんどのDEMコードの形式は、非常に単純であるか柔軟性に欠けています。このコードにはまた、シミュレーションを十分にカスタマイズして制御するための柔軟なユーザーインターフェースがありません。

Pythonによってユーザー制御は大きく向上しました。Pythonインターフェースを使えば、応力・ひずみ場の抽出のために、連続体モデルをRocky DEMに直接連係させることもできるでしょう。

今のところ、他の商用ソフトウェアパッケージで、このレベルの制御が可能なものはありません。連続体モデルのフレームワークをRocky DEMに追加するため、Qfinsoftとコラボレーションを組んでいますが、本当に楽しんでいます。

 

プロのエンジニアとエンジニアの学生にとって、シミュレーションツールの、特に離散要素法ソフトウェアの重要性とは何でしょうか?

 

Dr. Govender離散要素法によって説明されるマイクロメカニカル像から、安全な設計とスケールアップ基準を調査できることです。これは、コンサルティングエンジニアにとっては理想的です。同じように貴重なのは、シミュレーションツールを使えば、教授は教室を出なくとも、いくつかの基本的な概念を教え、解説できることです。私も今後、鉱物処理と粒子流のコースで教える際、大いにこのツールを活用したいと思っています。

 

Dr. Indresan Govender

ダーバン・ウェストビル大学 (University of Durban-Westville)卒。数学および物理学で理学士号 (BS) を取得。ケープタウン大学にて、優等学位(Hons.)、後に博士号 (PhD) を取得。粉砕研究に10年以上関わる。現在、UCTのCentre for Minerals Researchにて、Discrete Element Modelling (DEM) computational researchを率いる。計算モデリングは、ポジトロン放出粒子追跡(Positron Emission Particle Tracking (PEPT))法やX線断層撮影法などの、その場測定法と強力に連成。現在、ケープタウンのiThemba Laboratories for Accelerator Based Sciences (LABS) のPEPT設備のオペレーション監督を務める。

 

出典:(一部編集して翻訳)University of Cape Town uses Rocky DEM to simulate particle behavior

2016年11月30日公開


 

パーティクルシミュレーター Rocky DEM

 

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