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モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その6)

皆さま、こんにちは。

IDAJの清水です。

 

(過去の記事)

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その1)

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その2)

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その3)

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その4)

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その5)

 

いよいよ、量産時の検討に入ります。

量産では、製品のばらつきが生じます。それは部品公差だったり、製造での組付けばらつきだったりします。そのバラつき度合いを検証するためには、膨大な組み合わせの試行が必要になります。

弊社では、modeFRONTIERという多目的最適化ソフトウェアを取り扱っていますが、これを使えば、多目的の目的関数、たとえばトルク向上や効率向上といった指針に対して、自動的かつ効率的にパラメータを探索することができます。modeFRONTIERは、JMAGとダイレクトにつなげることができるため、容易にJMAGのパラメータ最適化を実施することが可能です。

 

部品公差の検討例を紹介します。こちらは、日本のとあるモータメーカ様の事例です。

パラメータとして、各部品の寸法を公差内に設定します。その条件で、トルクとコギングトルクが最も悪くなる探索を実施します。通常、最適化するのに対して、これは“最悪化”といえます。その結果から、仕様を満たすかどうかで部品のロバスト性を確認します。

 

 

続いて、製造ばらつきの事例です。

10極12スロットの表面磁石モータがあったとき、磁石の製造バラつきによって、コギングトルクが大きくなってしまうことがあります。

コギングトルクがまったくばらつきが無いもの、個々の磁力が最悪にばらついたもの、磁石の配向が最悪にばらついたもの、それぞれが2~3倍にまで大きくなることがあります。これらバラつき要因に対して、コギングトルクを低減することができる最適形状はそれぞれ異なります。そのため、製造バラつき条件の一つ一つを検討していては、全体的に最適な形状を得ることは困難です。そこで、modeFRONTIERとロバスト最適化手法であるタグチメソッドを組み合わせることで、トルクが大きくかつ複数の製造バラつき条件において、コギングトルクが小さくなるモータ形状を短時間で得ることができるようになりました。(この事例は、お問い合わせいただければ別途ご紹介します。)

 

その他、どのようなシミュレーションが必要か、または可能なのか、簡単に概略だけご紹介します。

モータにおいては、振動や騒音に加えて熱も重要な問題となります。JMAGでは熱回路網を使った温度解析が可能で、また、JMAGの発熱量をANSYS Fluent他の熱流体解析ソフトウェアにマッピングし、高精度解析を実現することができます。

 

JMAGには、MATLAB/Simulinkといった1Dツールのためのビヘイビアモデルとして、JMAG-RTがあります。このモデルを使って、コントローラの検討が可能になります。JMAG-RTとコントローラモデルの連携により、実機挙動に近い電流波形をシミュレートし、それを基に高精度な鉄損解析などを行うことができます。また、JMAG-RTモデルの簡易的な確認ビューアなどもあり、効率マップを確認することができます。

 

最近は、色々なテーマでAIが使われていますが、モータでも特性値の予測にAIを用いる試みが多くなってきました。弊社カンファレンス「IDAJ CAE Solution Conference」でもご紹介した内容ですが、AIを用いて、モータの磁束密度分布の予測を行った例があります。磁石数を変えた場合でも、比較的良好な予測が可能となりました。このAIとFEAをうまく使いわけることで、さらに設計を高効率化できる可能性がありそうです。

 

ここまで、モータの開発フローにおける、JMAGとmodeFRONTIERの活用方法を複数回にわたってご紹介させていただきました。

概略設計ではJMAG-Express、詳細設計ではJMAG-Designer、ばらつきを考慮したロバスト設計ではmodeFRONTIERを使うことで有効な検討が可能になります。

CAEを使えば、高性能な設計パラメータの選択や、問題となる振動・騒音周波数の予測と対策、量産バラつきの予測と対策が可能となります。一方で、使い方を間違えると不正確な結果がでることに注意が必要です。

 

IDAJでは、設計シーン、将来的な技術開発構想など、お客様のご状況やご希望に適したツールやサービスをご提案し、お客様のよりよい製品開発をサポートさせていただきます。

電磁界解析、最適化などCAEに関するご不明な点は、下記までどうぞお気軽にお問い合わせください。

 

➡【関連資料ダウンロード】誰でも実践できる! 踏み出そう、第一歩! modeFRONTIERを使ったノーコードデータサイエンス

➡【関連資料ダウンロード】最適化という言葉から生じる誤解あれこれ

➡【関連資料ダウンロード】CAEとディープ・ラーニング

➡【関連資料ダウンロード】実測とのコリレーションによる高精度モータNV解析と対策検討

追記・更新:2022年8月29日

 

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