Toyota Motor EuropeによるSPDMの取り組み事例
皆さん、こんにちは。
IDAJの飯田です。
国際的なCAE技術コミュニティ組織であるNAFEMSとRevolutionInSimulation.Orgは、デジタルエンジニアリング領域における様々な分野における技術交流が盛んです。
そのNAFEMSとRevolutionInSimulation.Orgがホストとなった「ACHIVING PERVASIVE ENGINEERING SIMULATION:2020-2030」においては、最新の技術トレンドとシミュレーション手法が紹介され、今後10年間でどのように産業と社会を発展させ、それらがどのような影響を与えるかをオープンなWebinar形式で探っていきます。
2020年6月11日には、Toyota Motor Europe(TME)様から、Aras Innovatorを用いたSPDM(Simulation Process and Data Management)の構築例のご紹介がありましたので、この場をお借りしてご説明します。(2020年7月28日にご講演資料を追加しました。)
Engineering Data Management – a Case Study
- E. Mottola, Senior Manager, Model-Based Development, Toyota Motor Europe Technical Centre
(*2020年7月時点で、こちらのリンクからTME様のWebinar動画と発表資料をダウンロードすることができます。)
ご発表内容の概要を、私なりに理解した範囲でご紹介します。
- データ管理は、開発各フェーズや領域単位でサイロ化(局所化)されている。
- 設計開発上流においてシステム性能評価をする際、必要な情報は1つずつ人の手を介してExcelに集約し、その後にようやくシミュレーション検討を実施するという運用。とても手間だしムダだった。
- そこで、タイヤやシャシー、PTなど車両システムの特性ヒエラルキーに基づいた格納方法を検討。皆がそれを情報の入力先、または情報の参照先として統一することで、情報を集める手間の削減と過去ノウハウの見える化を目指した。
- そのために利用したのが、カスタマイズ性と柔軟性に優れたAras Innovator。(飯田よりコメント:ソフトウェアベンダーに頼ることなくTME様自身で構築されたそうで、その点からもAras Innovatorの使い勝手の良さがわかります。)
- 車両システムのヒエラルキーを維持しつつ、普段使い慣れているExcelの操作性を踏襲したGUIを構築した。また、パラメータセットは既存の内製ツールにダイレクトにつながる仕組みを作り、別途、プロセスやデータの承認フローを構築。(飯田よりコメント:Excelライクであればユーザー側の拒絶反応も少ないはず!という狙いが素晴らしいと思いました。)
- ユーザー側はAras Innovator上で構築されたこのSPDMで派生車両スペックを設定し、それに合わせたシミュレーションに必要なデータセットをsBOM(simulation BOM)から引き出し、シミュレーションモデルに引き渡して計算実行するというフローを実現。
- 将来的には、オペレーション数を劇的に削減する”One Click Process”や、機械学習を用いた空間探索の効率化を目指したい考え。
現状、まだPoC(Proof of Concept)の位置付けであることを付け加えられていましたが、ここまで具体的に取り組まれている事例は、なかなか見かけることがありませんでしたので大変参考になりました。
このようなご発表を弊社のお客様からも頂戴できるよう、日々の技術サポートやインテグレーションサービスに精一杯取り組ませていただきます!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
エンタープライズMBDプラットフォーム「Aras Innovator」に関しては、お気軽にIDAJまでお問い合わせください。
追記・更新:2020年7月28日
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