Abaqusの産業分野別活用法 ~ゴム・樹脂~(その1)
皆さま、こんにちは。
IDAJの林です。
弊社は2011年から、統合有限要素法解析プログラム「SIMULIA Abaqus Unified FEA」の販売、技術サポート、エンジニアリング・コンサルティングを開始し、それまでに培ったCFD(Computational Fluid Dynamics:流体解析)や自動化・最適化等の利用技術と組み合わせてお客様にご提供し、今では、“構造解析”でも弊社をご指名いただけるようになりました。
Abaqusは、1978年、D. Hibbitt博士らによりHKS社を設立された年にリリースされました。Abaqusの語源は、ギリシャ語のaboxに由来しており、「砂をかぶった板」を意味しています。
ちょうど同時期に、ANSYS、ADINA、機構解析プログラムのADAMSも発表されています。
Abaqusは、ハイエンドな構造解析ソルバーとして、様々な物理現象をシミュレーションできる機能を有しています。初期には、陰解法を基盤とした非線形解析に焦点を当てていましたが、線形解析機能や陽解法による動的解析機能が強化されています。
多機能なAbaqus、でも、多機能だからこそ、どの機能がお客様の業務を効率化できるのか、コスト削減に貢献できるのか、わかりづらくもあります。そこで、今回から、5つの産業別に有効な機能をご紹介していきます。
- ゴム・樹脂
- 電気・電子
- 建築・土木
- 自動車部品
- 医療機器
今日は、「ゴム・樹脂」業界でご活用いただけるAbaqus機能のご紹介です。
ゴム業界ではAbaqusがスタンダードツールともいえるほど多くのお客様にご利用いただいおり、その理由をご理解いただければ幸いです。
ゴムや樹脂では大きな歪みを取り扱わなければなりません。
Abaqusの豊富な材料ライブラリと大きな変形にも対応する柔軟性の高いソルバーによって、以下のような変更を伴った解析を可能にします。
材料非線形 (弾塑性)
不可逆の塑性を伴う弾塑性特性は、ゴムなどと比べると小さな歪み(~20%程度)ではありますが、主に金属材料などでは重要なポイントになります。Abaqusは、異方性や速度依存性を考慮した弾塑性材料をモデル化することができますので、より実機に近い解析が可能です。
材料非線形 (超弾性)
ゴム上の物性を取り扱うことができる超弾性モデルが数多く用意されていますので、100%を超える大きな歪みをモデル化することができます。
例)Arruda-Boyce、Mooney-Rivlin など
材料非線形 (粘弾性・クリープ)
時間の経過に伴って物性が変化する粘弾性やクリープをモデル化することができます。
粘弾性は、プローニー級数を使ったモデル化で除荷後原形状に復元します。クリープはいわゆるフェーズ2の定歪み速度部分をモデル化し、永久歪みが残ります。
複合材・積層構造
FRPなどのプラスティック領域では、複合材や積層構造が使われており、解析ニーズが高い分野の一つです。
Abaqusには、これらのモデル化の手法がいくつか用意されており、適切なモデルを使って作成することができます。異方性や層ごとの配向の違い、層間はく離なども忠実に再現します。
接触
大きく変形すると、他部品との接触が問題になることが増えます。また、モノの固定や荷重の載荷などでも接触が大きな意味を持つことが多くなります。
Abaqusは、様々な接触モデルを用いてこの不連続で強い非線形性をもつ現象を再現することができます。
アダプティブメッシュ
超弾性や粘弾性など、大きな歪みと変形を解析する場合は、要素がつぶれる可能性が高まります。
これは、精度と収束性から大きな問題となりますが、メッシュを作成しなおすことで大きな歪みにも対応します。
その他の機能
・座屈
・時刻歴応答
・き裂進展
・FSI(流体構造連成)
・超大変形
・粘着
・ガスケット など
AbaqusユーザーでもあるIDAJならではの豊富なトレーニングメニュー
初めてAbaqusお使いになる方、久しぶりにAbaqusをご利用になる方、新しいテーマに取り組まれる方など、ぜひIDAJがご提供するAbaqusに関する各種トレーニングをご活用ください!
それぞれの非線形性についてわかりやすく解説し有限変形基礎論に基づく各種応力とひずみについてご説明します。ブラックボックスになりがちな非線形構造解析プログラムの中身を把握していただけるものと考えています。
Abaqus/CAEを用いて、解析モデルの作成から各種設定、ジョブの管理、結果処理までの各機能をご紹介し、実習を通して学習していただきます。
■□□ Abaqus/Standard・Abaqus/Explicit入門(2日間)
Abaqusソルバーのキーワードをベースとした利用方法や、解析で発生する問題の解決方法、要素の選び方などをご説明します。
■□□ Tosca Structureによる構造最適設計解析セミナー(2日間)
Tosca Structureによる基本的な最適化の考え方、トポロジー(位相)最適化やシェイプ最適化、ビード最適化、
サイジング最適化といった各種最適化の概要と操作方法を、実習を通して学習していただきます。
■□□ fe-safe入門(2日間)
疲労寿命予測に関する理論背景の一部をご紹介し、疲労荷重設定、材料設定などを適切に行える知識と技術の習得を目指します。
Abaqus/Standardによる非線形問題に対する解析手法や収束しない場合の問題点の見つけ方とその対処方法についてご説明します。
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