Abaqusの産業分野別活用法 ~建築・土木~(その3)
皆さま、こんにちは。
IDAJの林です。
前回に続いて、産業分野別に有効なAbaqusの機能をご紹介します。
今日は、「建築・土木」業界でご活用いただけるAbaqus機能のご紹介です。
建築・土木分野では、建物の剛性や風、地震に対する検討、コンクリートの挙動など多くの物理現象を考慮する必要があります。
例えば、土木業界で必須となるコンクリートを使用した各種解析を行うことが可能です。建築物のような大規模解析には、並列解析と解析専用サーバーのサポートも強みの一つです。
統合有限要素法解析プログラム「SIMULIA Abaqus Unified FEA」について
弊社は2011年からAbaqusの販売、技術サポート、エンジニアリング・コンサルティングを開始し、それまでに培ったCFD(Computational Fluid Dynamics:流体解析)や自動化・最適化等の利用技術と組み合わせてお客様にご提供し、今では、“構造解析”でも弊社をご指名いただけるようになりました。
Abaqusは、1978年、D. Hibbitt博士らによりHKS社を設立された年にリリースされました。Abaqusの語源は、ギリシャ語のaboxに由来しており、「砂をかぶった板」を意味しています。
ちょうど同時期に、ANSYS、ADINA、機構解析プログラムのADAMSも発表されています。
Abaqusは、ハイエンドな構造解析ソルバーとして、様々な物理現象をシミュレーションできる機能を有しています。初期には、陰解法を基盤とした非線形解析に焦点を当てていましたが、線形解析機能や陽解法による動的解析機能が強化されています。
コンクリート
ひび割れによって強度の低下する特性を考慮して、コンクリートをモデル化することができます。圧縮側と引張側では異なる挙動の定義が可能です。
鉄筋コンクリートと無筋コンクリートの両方を扱うことができ、鉄筋はリバーやリバーレイヤーを使って表します。
固有振動数と固有モード
周波数を軸にして振動を考える際に、そのもととなる固有振動数と固有モードを求めます。
無荷重の状態だけでなく、荷重のかかった状態や接触の状態でも固有値を求めることができます。いわゆるモーダル解析を行うときには、それに先立って実行しておく必要があります。
応答スペクトル
地震などの加振に対する構造物の最大応答を推定することができます。
加振力は、応答スペクトルという形で入力し、周波数に対する構造物の応答を求めます。これには固有値解析の結果が必要です。
接合(ボルト・ナット、リベット、スポット溶接)
部材接合のための基本的な機械要素であるボルト・ナット、リベット、スポット溶接をモデル化することができます。それぞれの接合では、ボルトの張力や溶接の剥離など、実物に則した挙動を扱うことができます。
座屈
細長い構造物に圧縮荷重がかかると構造物の軸と直角方向に変位が生じ、系が不安定になります。
座屈解析では、どの時点で不安定になるか(座屈荷重)、座屈した後どのように挙動するか(座屈後解析)などを求めます。
流体構造連成(FSI、Fluid-Structural Co-simulation)
流れが構造物に当たると圧力がかかり、構造物が変形します。そして、変形した構造物は流路を変えるため、流れが変わります。このように、風荷重による揺れなどを対象に、流体と構造の連成をサードパーティの流体(CFD)ソフトウェアと一緒に解きます。
その他の機能
・衝撃
・時刻歴応答
・紛体(DEMとSPH) など
AbaqusユーザーでもあるIDAJならではの豊富なトレーニングメニュー
初めてAbaqusお使いになる方、久しぶりにAbaqusをご利用になる方、新しいテーマに取り組まれる方など、ぜひIDAJがご提供するAbaqusに関する各種トレーニングをご活用ください!
それぞれの非線形性についてわかりやすく解説し有限変形基礎論に基づく各種応力とひずみについてご説明します。ブラックボックスになりがちな非線形構造解析プログラムの中身を把握していただけるものと考えています。
Abaqus/CAEを用いて、解析モデルの作成から各種設定、ジョブの管理、結果処理までの各機能をご紹介し、実習を通して学習していただきます。
■□□ Abaqus/Standard・Abaqus/Explicit入門(2日間)
Abaqusソルバーのキーワードをベースとした利用方法や、解析で発生する問題の解決方法、要素の選び方などをご説明します。
■□□ Tosca Structureによる構造最適設計解析セミナー(2日間)
Tosca Structureによる基本的な最適化の考え方、トポロジー(位相)最適化やシェイプ最適化、ビード最適化、
サイジング最適化といった各種最適化の概要と操作方法を、実習を通して学習していただきます。
■□□ fe-safe入門(2日間)
疲労寿命予測に関する理論背景の一部をご紹介し、疲労荷重設定、材料設定などを適切に行える知識と技術の習得を目指します。
Abaqus/Standardによる非線形問題に対する解析手法や収束しない場合の問題点の見つけ方とその対処方法についてご説明します。
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