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【はじめての流体解析】”流体とは?”から”流体解析を業務に適用するとどうなる?”までを解説

 

皆さま、こんにちは。

IDAJの中井です。

2018年8月から15回に分けて弊社の石川が書かせていただいた記事を一覧にしました。

「流体とは?」に始まり、「流体解析を業務に適用するとどうなる?」まで、ご興味のあるところやご関心のあるところだけでも是非ご覧ください。流体解析に取り組まれる前に、少しでも参考にしていただければ幸いです。

私自身は、なんとなくわかった気でいた流体や流体解析(CFD)の流れ、今さら(入社時に教えてくれた上司には怖くて・・・)聞けないことなどがおさらいできて良かったです。

 

流体解析をはじめる前に知っておくこと

我々の身の回りには様々な物質があり、また環境によって様々な状態をとっています。
空気に代表される気体、水に代表される液体、そして固体が物質の3体として存在しています。この中で、気体や液体のように自由に形を変えながら流れていくことができるものを、一般的に“流体”と呼びます。
では、この「流体」。特徴づける性質にはどのようなものがあるでしょうか?
流体は、流体自体の性質である“物性”と、“流れ方の性質”により、その特性を分類することができます。
“物性”にも様々なものがありますが、代表的な“物性”としては「粘性」と「圧縮性」。粘性は、流体がネバネバした物なのか、サラサラした物なのかを表す性質で、物質や温度などによって変わります。
空気や水はサラサラしていますが、水あめやハチミツはネバネバしており、粘性を表す粘度が高いと言われます。

流体の性質には、「層流」「乱流」があります。乱流は、流れが乱れている状態です。水道の蛇口をひねって水が出ている状態をイメージしてください。流量が小さいときは、すんなりと水が流れていきますが、蛇口を大きくひねり流量を大きくすると、じゃあじゃあと水しぶきをあげながら乱れて流れます。乱れが無く、すんなりと流れている状態を“層流”、渦を巻いたり乱れたりしながら流れている状態を“乱流”と呼びます。灰皿に置かれたタバコの煙を見ると、最初はすうっと上昇し(層流)、途中から渦を巻きながら乱れていく様子(乱流)がわかります。これも、乱流です。
また、流体には「単相流」「混相流」という特徴を持ちます。混相流は、気相・液相・固相のうち、二つ以上の異なる相からなり、それらの相が相互に作用を及ぼしながら運動している流れのことです。私たちの身の回りにも、たくさんの“混相流”を見ることができます。雨の日に車を運転すると、車の周りは空気(気相)と雨(液相)が両方流れていきます。

 

詳細はこちらをご覧ください。

【はじめての流体解析】流体とは

【はじめての流体解析】乱流とは

【はじめての流体解析】単相流と混相流

流体解析(Computational Fluid Dyamics:CFD)とは

 

流体力学とは、流体の運動を取り扱う学問で、流体の性質を数式に置き換えて、物理学的に、数学的に記述した学問体系です。
流体力学では、“流体”はどのように定義されるのでしょうか?
一般的には、流体は“連続体”として扱うことができるものとして定義されます。実際は、空気にしても水にしても、最小単位は原子や分子という微粒子の集まりです。しかし、連続体では流体を分子で構成されているというレベルまでは考えません。空気はどこまで細かく見ても空気として扱われ、水はどこまで細かく見ても水として扱われます。
物理的には、“クヌッセン数”という指標があります。これは、分子の平均自由行程(分子が運動して周りの分子に衝突するまでの距離)と流れの代表長さの比で表されます。これより十分大きなスケールの空気流れは、連続体として扱うことができ、分子などの微粒子は考えなくても良いということです。

流体力学には、実験を主体に流体を研究する“実験流体力学”や、理論を主体に研究する“理論流体力学”などの分野があります。そしてもう一つ、コンピュータを使って流れを予測する“数値流体力学(計算流体力学)”という分野があります。
これは英語で「Computational Fluid Dynamics:CFD」、一般的にはこの数値流体力学のことを“流体解析”と呼ばれます。

自動車、航空機、船舶などの乗り物の走行性能や、ポンプ、送風機、エンジンなどの工業製品の性能などを保証するためには、流体力学の理論による予測と実験による検証が不可欠となっています。その理論による予測のために、コンピュータシミュレーションを用いるのがCFDです。

 

【はじめての流体解析】流体力学とは

【はじめての流体解析】計算流体力学

では、CFDシミュレーションのメリットはなんでしょうか?
まずは、“結果として得られる情報量の多さ”でしょう。
実測で、温度や速度を測ろうとすると、センサーを置いた位置の情報しか得ることができません。
しかし流体解析では、任意の場所の情報を入手することができ、温度や速度、圧力その他必要な様々な物理量を得ることが可能です。
次に、製品の”開発工数短縮やコスト削減に役立つ”ということも挙げることができます。
製品開発においては、試作を作成するには、非常に多くの時間やコストがかかるという話しをよくお聞きます。
試作品を作ったはいいが、思うような性能が出なかったので次の試作品を作るというサイクルを繰り返すと、それだけで、多くのコストや時間を費やすことになります。また、一度に複数個の試作品を作成するという場合でも、考えられる形状の中から、より可能性の高い形状を抽出して試作品を作成することができれば、無駄な試作品を作成することが減り、コストを抑えることができます。
流体解析は、コンピュータ上で設計案を次々と試していくことができるので、試作に必要な時間やコストを大幅に削減することができ、さらに試作の検証サイクルが短縮されれば、それだけ多くの設計案を検討してみることが可能になります。最適設計なども、コンピュータ上で可能になっていますので、よりクオリティの高い製品を作ることができるのです。
・自動車の車体まわりの空気流れを解析したものです。
・無人機周りの空力解析
・自転車周りの流れ解析
・ポンプ回転を考慮した性能設計
・建築物のビル風解析
・水中プロペラ発電機周りの流れ予測
・ダム放流時の水流予測解析
・呼吸時の呼気の流れ解析
・気管内の呼気流れ解析
・エンジン内の流れ、噴霧、混合気、燃焼解析
・競泳用ゴーグルの抵抗値予測  など

 

 

 

詳細はこちらをご覧ください。

【はじめての流体解析】流体解析でできること(その1)

【はじめての流体解析】流体解析でできること(その2)

【はじめての流体解析】流体解析の全体像(その1)

実績・お客様事例

流体解析を構成する要素と流体解析の手順(全体像)

流体解析を概念図はこちらです。対象とする流れ場を計算機の中で再現し、流体の基礎方程式を様々な数値計算手法を用いて計算機上で計算することによって解を求めます。最後に、求まった解析結果を可視化し人間の目に見える状態にします。

 

 

流体解析を構成する要素は、大きく分けて5つあります。大まかな手順は、コンピュータ上に対象とする形状を作成し、プログラムで計算して、結果を見るという順番です。

■計算するためのコンピュータ

流体解析は、解く対象や現象、利用するソフトウェアなどにより必要なスペックが大きく変わります。特に大規模な計算を行なう場合には、CPUやメモリを増やしたり、専用の計算サーバーを構築することが必要になることがあります。実際に流体解析を実施される際には、ハードウェアまたはソフトウェアベンダーに解析内容を伝えて、アドバイスをもらうといいかもしれません。

■解析する形状や計算に必要なメッシュ(前処理)

数値解析を行なうためには、まずコンピュータ上に解析対象物を再現し、解析領域を任意の小空間に分割する必要があります。解析対象の形状は、3次元のCADデータを流体解析プログラム(解析ソフトウェア)に読み込むか、プログラム上で形状を作成するかのどちらかになります。
解析領域を分割した任意の小空間を“メッシュ”もしくは、“グリッド”、“格子”、“セル”などと呼びます。呼び方は様々ですが、だいたい同じ意味だと思っていただいて結構です。この各セルに保存則が適用され、各セルに速度や温度などの値を持ちます。

■さまざまな計算手法と計算するためのプログラム(ソルバー)

流体解析は、すでにご説明したように保存則から得られた流体の基礎方程式を数値的に解くものです。

■どのような物理現象を扱うかを決める解析設定

解きたい実際の流れ場をどのように仮定して計算するかが、“解析手法の選択=解析設定”です。
まず物理現象として、時間経過を考えるか(定常・非定常)、流体の性質をどう扱うか(圧縮・非圧縮性、ニュートン流体・非ニュートン流体など)、流れをどう扱うか(層流・乱流、亜音速・超音速など)、固体の熱・音響・気液混合まで扱うかなどといった選択を行ったのち、CFDプログラムに該当する入力を行います。
また、計算する領域の周囲には境界条件を設定する必要があります。F1カーの空力解析を例にとると、空気の入口には車速相当の速度を、出口には大気圧相当の圧力を与え、タイヤには回転速度を与えるという設定です。これもCFDプログラムへの入力となり、CFDで解く方程式の境界条件となります。

■計算で得られた結果を人間に理解できる形にする結果処理(後処理)

ソルバーで演算処理したデータを可視化します。

流れの方向や大きさを最もわかりやすく表示できるのが速度ベクトル図で、流れの方向を矢印で表示し、矢印の色や長さによって速度の大きさを表現しています。
流れ場の評価では流速だけでなく、圧力も重要です。指定した断面や壁面において、圧力をベタ塗りの図で表示すると圧力分布がよく分かります。このようなベタ塗りの図を、コンター図と呼びます。コンター図では値の大きさを色で区別します。温度に着目した場合、圧力のコンター図と同じように、指定した断面や壁面において、温度をコンター図で表示して確認します。
速度ベクトル図では、3次元的な流れをイメージしづらいですが、“流線”で表示すると3次元的な流れを確認することができます。流線は、質量や体積を持たないと仮定した“仮想粒子”と呼ばれる粒子の軌跡を表したもので、計算終了後に解析領域中に仮想粒子を配置することで、計算によって得られた流れ場の状態から仮想粒子の挙動が計算され、線で表示されます。
また、解析領域中で同じ値となる位置をつないでいくと、3次元的な面ができあがります。これを一般的には、“等値面”と呼びます。等値面を利用することで、圧力や温度などの3次元的な分布を確認することができます。
これらを2次元や3次元の画像、アニメーションなどを用いてCFDの結果を視覚化し、定性的および定量的に解析します。

なお、一般的に3次元CADデータを読み込む機能や流体空間定義機能、メッシュ生成機能、境界条件設定機能、結果処理機能などがパッケージ化されて提供されているソフトウェアをプリ・ポストソフトウェア、計算を実行するソフトウェアをソルバーと呼びます。

汎用的な熱流体解析ソフトウェアには、メッシュ生成ツール、計算のためのソルバー、結果処理ツールがパッケージ化されたものが市販されています。また、一定の利用条件や規約に従うことでフリーで利用できるオープンソースソフトウェア(Open Source Software:OSS)や、自作されたプログラムなどを使用することができます。

 

IDAJで取り扱っている熱流体解析ソフトウェア

【汎用型】

【オープンソースベース汎用型】

【機能特化型】

 

詳細はこちらをご覧ください。

【はじめての流体解析】流体解析の全体像(その2)

【はじめての流体解析】流体解析を構成する要素(その1)

【はじめての流体解析】流体解析を構成する要素(その2)

【はじめての流体解析】流体解析を構成する要素(その3)

【はじめての流体解析】流体解析を構成する要素(その4)

【はじめての流体解析】流体解析を構成する要素(その5)

【はじめての流体解析】流体解析を業務に適用するとどうなる?

【書籍のご紹介】数値流体解析(CFD)~赤本と銀本~

 

 

 

追記・更新:2022年2月25日

■お問い合わせ先

株式会社 IDAJ 営業部

E-mail:info@idaj.co.jp

TEL: 045-683-1990