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モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その1)

皆さま、こんにちは。

IDAJの清水です。

 

モータはすでに100年の歴史をもつ成熟機器ですが、開発の歩みが止まることはなく、過酷な開発競争にさらされている機器の一つです。20年ほど前までは、一定回転数で回る、トルクや回転数、出力の特性が規定を満たすことがモータに求められてきましたが、最近ではその利用シーンに応じて様々な性能が求められるようになりました。

小型、高効率、消費電力低減、静音、素早い応答、均一なトルク、などなど。あらゆる動力にモータが使われるようになった現在、私たちはもしかしたら動力の変革期を体験しているのかもしれません。これに加えて製造業全体に対する開発期間の短縮という命題も課せられています。

そこで、モータ開発においてもCAEを活用した設計の必要性がますます高まっています。今回から、モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法をご紹介します。

 

先述の通り、モータが実用されてから100年が経過しています。しかし、IPM(Interior Permanent Magnet Motor)、SR(Switched Reluctance Motor)やシンクロナス(Synchronous Reluctance Motor)といったリラクタンストルクを応用するモータは、開発の歴史は古いものの、実用化時期は1990年代に入ってからとごく最近のことなのです。電磁界解析によく用いられるCAEツールの一つJMAGのファーストリリースが1980年代ですから、これらのモータは、CAEが発展することでようやく実用化が可能になってきたということができそうです。特にIPMは、皆様ご存知の通り高効率化に有効なモータですが、CAE無くしてこの普及は無かったと言えるかもしれません。もちろん、ドライバや材料など他の技術の進化もその発展に深く関わっています。

CAEツールをすでに活用されている方にとっては当たり前のことかもしれませんが、ここで簡単にCAEによる開発のメリットとデメリットをご説明します。

メリットは、なんといっても試作レス、そして試作レスのおかげとも言えますが大量のパラメータ検討が可能であること、そして物理現象から見た現象の考察が可能なことがあげられます。一方でデメリットは、目的の検討をするためには正しい設定が必要であること、ツールを使うための操作の習得が必要であること、正しい設定が必要だという項目にも関係しますが、実物との乖離度合いに注意することが挙げられます。これらは残念ながら、CAEツールさえあれば誰でも簡単に開発に適用できるわけではないことを示しています。開発に使うためには、やはり正しい知識が必要なのです。

 

モータの開発フローの例にとります。(CAEツールにはJMAGを利用しています)

 

 

まず、仕様とサイズが決まり、それに適するモータの概略形状を決定します。この段階ではラフな設計が必要で、特性としてはNT、トルク速度特性、電力、効率などを対象にします(この段階では、JMAG-Expressを使うのが便利です)。次に、詳細な形状を決定します。ここでは、モータのあらゆる特性、コギングトルク、減磁、損失、飽和現象、電磁力、騒音などを検証します(ここでは、JMAG-Designerによる詳細評価が必要です)。形状が決まったら、試作に入ります。試作が終了すると量産段階に入りますので、ばらつき対策が必要です。公差や製造バラつきの評価には、大量のパラメータ検討が容易な最適化ソフトウェアのmodeFRONTIERなどとの連携が有効的です。こちらはあくまで一例ですので、お客様の開発されている製品やお立場、お使いのツールなどで、諸々変わってくるかと思います。

これからのお話は、お客様のご状況を鑑みて、それぞれのケースをあてはめながらご高覧いただけると幸いです。(次のページはこちらです。)

➡【関連資料ダウンロード】誰でも実践できる! 踏み出そう、第一歩! modeFRONTIERを使ったノーコードデータサイエンス

➡【関連資料ダウンロード】最適化という言葉から生じる誤解あれこれ

➡【関連資料ダウンロード】CAEとディープ・ラーニング

➡【関連資料ダウンロード】実測とのコリレーションによる高精度モータNV解析と対策検討

電磁界解析、最適化などCAEに関するご不明な点は、下記までどうぞお気軽にお問い合わせください。

追記・更新:2022年8月29日

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