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モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その4)

皆さま、こんにちは。

IDAJの清水です。

 

(過去の記事)

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その1)

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その2)

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その3)

 

今回は、磁石形状の設計を考えます。

このケースでは、ネオジム磁石を想定していますが、磁石は基本的に高コスト材料です。したがって、コストダウンが主な目標の一つとなります。コストダウンには、まず体積を減少させる必要があります。

そこで、体積が同一の条件での磁石形状の変化を検討します。こちらのグラフは、横軸が磁石幅、縦軸がトルクです。磁石幅が増えるほど、磁石厚みが減る関係となっています。体積一定の条件では、磁石幅が大きくなるほど、トルクは大きくなっています。ただし、あまりにも薄すぎるとトルクは落ちます。そのため、幅が広め、厚みは薄めが目指す目標です。さらにコストダウンするためには、低グレード、つまり保磁力の小さい磁石の採用が求められます。これらを総合的に判断すると、減磁を考慮することが重要であることがわかります。

 

 

JMAGは、不可逆減磁を考慮した解析が可能です。高温でクニック点を超えて反磁界が大きい動作点になった際、低温に戻して不可逆減磁している状態を模擬することができます。

減磁を考慮した場合には、減磁を考慮しない場合に比べて、トルクに対して磁石幅の最適値が変わり、磁石厚を厚めにしなければなりません。ただし、高グレードの材料を選択すると、同じ幅ではトルクが低くなりますが、薄くても減磁しなくなるため、同じ磁石体積での最大トルクは大きくなります。つまり、もっと小さい体積でも良いということになるのです。高保磁力品では、同じトルクを出すために小さい磁石で良い可能性もありますね。

本ケースのモータでは、磁石端部の減磁率が大きいことがわかります。この反磁界を減らすために磁束をやや逃がすようなフラックスバリアとすると、減磁率を改善することができました。

 

 

今度は、磁束密度分布や損失分布を確認して、コア形状変更の知見を得ることにしましょう。磁束密度分布を見ると、ステータコアティース先端部が高く、コアバック部は低いことがわかります。このことから、ステータコアティース先端部はもっと鉄芯を広くし、コアバック部は鉄芯を狭くしても良いと考えられます。損失分布も同様の結果です。その他、ここではご紹介しませんが、遠心力や嵌めあいによる応力も考慮する必要があります。

 

 

次回は、振動騒音対策の設計についてご紹介します。

 

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追記・更新:2022年8月29日

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