ソリューション
ソフトウェア
その他・お知らせ
本文までスキップする

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その5)

皆さま、こんにちは。

IDAJの清水です。

 

(過去の記事)

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その1)

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その2)

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その3)

モータの設計シーンに対応した電磁界解析の活用方法(その4)

 

今回は、振動騒音対策の設計についてご紹介します。

モータの振動や騒音の要因を大別すると、電気要因と機械要因とにわかれます。磁界解析では、主に電気要因を評価することができます。(電気要因には、電磁力高調波と磁気的偏芯が考えられます。)

 

ロータの偏芯による電磁力の増大を確認します。ここでの偏芯は、ロータと回転軸の両方が偏芯した静的偏芯です。ステータ全体の電磁力次数を出力すると、偏芯によって回転24次と48次が劇的に増大するため、この次数の振動と騒音に注意を払う必要があることがわかります。この次数は極数とスロット数で変えられるため、モータ製造上どうしても偏芯が避けられず、24次と48次振動(騒音)が問題になる場合には、極数とスロット数を再検討しなければなりません。なお、この電磁力ピーク値は、ロータコアやステータコアの形状で改善することができます。

 

 

JMAGは構造解析も可能で、構造解析と磁界解析の連成による、音圧解析を実施することができます。この音圧解析を使って、キャンベル線図を作成することができます。

モータの振動や騒音評価をされたことがある方はご存知かと思いますが、キャンベル線図は、横軸に回転速度、縦軸に周波数、円の大きさに振動や騒音値をとったもので、共振や発生次数が容易にわかる、便利なグラフです。

まず複数の回転数、例えば、2,000、4,000、6,000、8,000、10,000rpm分の磁界解析を実施し、アセンブリの固有モード解析を行います。次に、この各回転数の電磁力と固有モード解析の結果をもとに、音圧解析を実施します。それから評価点を決め、各回転数での周波数と音圧データを出力します。今回は音圧が大きめとなる、モータの横の位置を測定しました。その結果すべてをExcelに移し、バブルチャートを作成します。下の右側のグラフです。

なお、分析しやすいように、音圧の大きさは適宜指数倍しました。このグラフから、28次、48次、52次の次数が大きく、3,600Hzと7,000Hz付近の共振が大きいことがわかります。3,600Hzと7,000Hzは、振幅の大きな固有モードを持っているのです。

 

 

次に、偏芯も検討してみましょう。

偏芯することで、ステータコアの電磁力は24次と52次付近が大きくなります。さらに、音圧解析によりキャンベル線図を作成してみました。偏芯することで、4,000rpmで24次と1,600Hz程度の非常に大きな共振が出ていることがわかります。2,000Hz程度では騒音が耳障りな音になりますので、このケースでは、偏芯すると聴感上問題となる騒音を生じる要注意なモータであることがわかりました。

そのため、磁気側では24次を落とす対策、構造側では1,620Hzの共振をずらす、もしくは減らす対策、ものづくりとしては偏芯させない対策が必要です。もしかしたら、そもそも、極数とスロット数を変えることも考える必要があるかもしれません。

 

 

 

次回は、量産時の検討についてご紹介します。

 

➡【関連資料ダウンロード】誰でも実践できる! 踏み出そう、第一歩! modeFRONTIERを使ったノーコードデータサイエンス

➡【関連資料ダウンロード】最適化という言葉から生じる誤解あれこれ

➡【関連資料ダウンロード】CAEとディープ・ラーニング

➡【関連資料ダウンロード】実測とのコリレーションによる高精度モータNV解析と対策検討

電磁界解析、最適化などCAEに関するご不明な点は、下記までどうぞお気軽にお問い合わせください。

追記・更新:2022年8月29日

■お問い合わせ先

株式会社 IDAJ 営業部

Webからのお問い合わせはこちら

E-mail:info@idaj.co.jp

TEL: 045-683-1990