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シミュレーション準備工数削減のために ~3次元データ修正・流通の効率化~

皆さま、こんにちは。

IDAJのCADfixサポート担当のIDAJ8Iです。

 

シミュレーション(解析)の経験がおありの方にはご共感いただけるものと思いますが、そもそもCADデータには多数の情報が含まれるため、データそのままをシミュレーションツールに読み込むと、微小な形状までも再現するために膨大な解析メッシュが作成され、期待する時間で計算を終了させることができません。また、シミュレーションには適さない隙間や形状などが含まれるため、データ修正が必要になることも多々あります。

この、シミュレーション前に手間がかかるばかりでやっかいなデータ修正に対する強力なサポートツールがCADfixです

 

CADfixで操作可能な3次元形状データ要素

まずは、CADfixで操作できる3次元形状データの要素についてご紹介します。

CADfixでユーザーが操作することができるのは、ボディ、フェース、サーフェス、エッジ、ポイントという5つの要素です。

CADfixにおける3次元形状データの構造

CADfixにおける3次元形状データの構造

 

それぞれの要素についてご説明します。

【ポイント】

ポイントはGUI上に表示される点で、XYZ座標値から一意に決定します。

ポイントの座標指定には絶対座標を使用しますが、指定ポイントの移動には相対座標を使用することができます。

ポイント

ポイント

 

【エッジ、エッジループ】

エッジはCADfixのGUI上に表示される線です。2種類のエッジがあり、エッジに接続するフェースの数によって連結度を持ちます。なお、複数のエッジをまとめて閉じたものをエッジループと呼びます。

エッジ

 

エッジループ

 

 

[連結度]

エッジに接続するフェースの数によって、GUIで表示される線の色が変わりますので、簡単に連結度を見分けることができます。

白(黒)色:連結度=0(エッジだけで存在)

赤色:連結度=1(1枚のフェースが接続)

緑色:連結度=2(2枚のフェースが接続)

黄色:連結度=3(3枚のフェースが接続・ノンマニフォールド状態)

エッジ接続するフェースの数に制限はありませんので、連結度が4を超えるエッジも存在します。

 

エッジ連結度

エッジ連結度

 

[NURBSエッジとアナリシスエッジ]

NURBSエッジは、NURBSサーフェスと同様に、次数(階数)、制御点数、制御点列、ノットベクトルの4つの情報から構成される曲線で、柔軟な形状表現が可能です。

アナリシスエッジ(解析線)は、解析的に簡単に表すことのできる直線と円弧で構成されています。

 

[エッジループ]

エッジループは異なる種類のエッジで構成することができます。

 

【サーフェス】

サーフェスはフェースを構成する要素の一つで、NURBSサーフェスとアナリシスサーフェスがあります。

CADfixはサーフェスを単独で表示・編集することができます。アナリシスサーフェスからNURBSサーフェスへの変換、平面や円弧などの限定された形状であればNURBSサーフェスからアナリシスサーフェスへの変換も可能です。

[サーフェスの種類]

NURBSサーフェスはNURBSエッジのテンソル積で得られ、2つの独立媒介変数uとv で表現されます。NURBSエッジ同様に複雑な曲面を表現することができます。

 

NURBSサーフェス

NURBSサーフェス

 

アナリシスサーフェス(解析サーフェス)は、平面、円柱、円錐、球、ドーナッツの5種類の定形形状で、複雑な曲面形状を表現することはできません。

 

アナリシスサーフェス

アナリシスサーフェス

 

【フェース】

フェースはGUI上に表示される面で、以下のようにサーフェスをエッジループでトリムした結果です。

フェースの構成要素に問題がある場合、ボディと同様にCADfixのウィザードから”準備”を実行することで、自動的に適切な状態に修正されます。

NURBSサーフェス、アナリシスサーフェスは閉じたエッジループでトリムできます。(閉じていないエッジループはどちらのサーフェスもトリムできません。)

フェースを構成するエッジループは、円は最小1本、半円は最小2本で構成できますが、形状データの互換性に問題が生じることがあるため、3本以上のエッジで構成することをお勧めします。

 

フェースの構成

フェースの構成

 

【ボディ】

ボディは、複数の連続なフェースが集合した閉空間のことで、CADfixはそれぞれの閉空間をボディという単位で管理します。

閉空間にならないフェースは、ボディに属さないフェース専用の“シェル”で管理するか、フェースを選択してボディに登録(オープンボディ)して管理することができます。

ボディの構成要素に問題がある場合は、CADfixのウィザードから“準備”を実行することで、自動的に適切な状態へ修正されます。

 

ボディ

 

シェル

 

オープンボディ

 

ボディを構成するフェースは、球は最小1枚、半球形状は最小2枚、円柱は最小3枚で構成できますが、形状データの互換性に問題が生じることがあるため、4フェース以上で構成することをお勧めします。

 

CADfix以外のソフトウェアでもデータ構造は同じなのですが、ユーザーが操作できない要素があります。CADfixは、ボディ、フェース、サーフェス、エッジ、ポイントの5つの要素を操作でき、より柔軟に形状の修正と構築が可能な点が大きなアドバンテージとなっています。

 

データ不整合の修正方法

形状データ修正にあたって頻繁に行う作業と言えば、フェース間の隙間埋めや、細長いフェースをつぶすという処理。

実はこのとき、モデルデータに不整合が生じていることはご存知でしょうか?

 

こちらは、モデルデータ不整合の代表的な例です。

下図のように隙間を埋めた場合、フェースに関連したエッジとその子要素であるポイントが指定の位置に移動しますが、移動したエッジの親要素であるフェースとその子要素であるサーフェスが自動的に延長されたり、再作成されることはありません。

モデルデータ不整合

モデルデータ不整合

 

 

このような不整合が発生していても、その修正が微小であれば、エクスポート時にCADfixの自動修正機能によって問題は解消されます。これはCADfixを使うメリットの一つです。

 

しかし、モデルサイズに比べて過大な形状修正は、自動修正機能では問題を解消することができません。問題となる形状サイズの目安は、モデル全体サイズに対して0.5%を超えるような変形です。

形状サイズの目安

形状サイズの目安

 

問題のあるモデルデータをCADfixの診断機能でチェックすると、「エッジサーフェス間の隙間」、「非常にアンダーサイズ、薄い」などの診断結果が表示されます。

 

診断結果

診断結果

 

この問題を修正するための修正候補が複数表示されますが、以下の3つがお勧めです。

 

修正候補

修正候補

 

 

1. フェースより小さなサーフェスの拡張

フェースに対して、サーフェスを延長してフェース全体を再構築します。しかし、サーフェスの延長上にエッジが存在しない場合は適しません。

データ全体への影響が最も少ないことが特徴です。

 

2. フェースの再フィット

「1. フェースより小さなサーフェスの拡張」で対応できないようなエッジとサーフェスにズレがある場合に使用します。

現在のエッジとサーフェスの関係から、自動的にサーフェスを再作成して、フェース全体を再構築します。エッジとサーフェスのずれを自動で修正できない場合は、フェースを再構築できません。

これが適用できない場合に、「3. フェースの再埋め込み」を試します。

 

3.フェースの再埋め込み

現在のエッジからサーフェスを新たに作成してフェース全体を再構築します。新規にサーフェスを作成しますので、フェースを確実に再構築することができます。

しかしこの方法では、再構築前後で異なる曲率のフェースが作成される場合がありますのでご注意ください。

 

要素を“つぶす”修正は、連結度が正しい状態になるため不具合が修正されたように見えますが、必ず診断を実行してモデルデータ内部の異常の有無を確認しましょう。診断で問題点が指摘された場合は、問題に適した方法でモデルデータを修正してください。

もちろん、どのような修正をすべきか判断しかねる場合は、CADfixサポート(cadfix@idaj.co.jp)あてにご相談ください。現在のデータ状況をヒアリングさせていただいた上で、最適な解決方法を提示させていただきます。

 

ここまで、CADfixで使われる要素の名称を使ってご説明してきましたが、実は、他のソフトウェアでは同じ要素を示すときに、しばしば別の名称が用いられます。最後に、それらの情報をまとめてお伝えしたいと思います。

さて、なぜ各ソフトウェアで異なる要素名称が用いられているのでしょうか?

その昔、企業でコンピュータの導入が進み、意匠確認、図面、設計、CAEなど、様々な分野で2次元・3次元のコンピュータグラフィックスの利用が始まりました。このコンピュータ利用の黎明期においては、ソフトウェアごとにデータの表現形式が異なっていたため、要素名称が異なることは当たり前のことでした。

 

データの表現形式

その後、コンピュータの処理速度が向上し、より精細で、より複雑なデータを取り扱うことができるようになりました。

またそれと共に、ソフトウェア開発技術の向上、効率的なデータ表現の追求、共通ライブラリの整備などによって、ソフトウェアごとの独自のデータ表現形式であったものが、多様な表現が可能なNURBS(Non Uniform Rational B-Spline)形式を多くのソフトウェアが採用し、やがてそれが表現形式としてスタンダードなものになっていきました。

NURBS形式にも問題はありますので、その点については最後に述べます。

 

要素の名称

ユーザーが画面上で操作する要素名称は、ソフトウェア使用者が慣れ親しんだ名称を変更する動機がなかったため、各ソフトウェアに独自の表現が残りました。

CADfixにおける要素の名称と同じ意味を持つ他ソフトウェアでの別称の例を以下に示します。

 

CADfixの3次元形状データの要素名称と他ソフトウェアでの別称

CADfix要素の名称

他ソフトウェアでの別称

ポイント

点、ノード(Node)、節点、Vertex

エッジ

線、ライン、カーブ、NURBSエッジ、スプライン、ベジェ、解析エッジ、トリムエッジ

サーフェス

ベースサーフェス、NURBSサーフェス、解析サーフェス

フェース

面、サーフェス、トリムサーフェス、シェル、パッチ、自由曲面、NURBS面

ボディ

ソリッド、閉じたシェル、閉じたサーフェス

 

NURBS形式の問題点

多くのソフトウェアが、形状表現としてNURBS形式を採用したことによって、データの互換性に関しては一定の進歩がありました。

しかし、NURBS形式は形状表現に使用可能な変数の自由度が高いため、各ソフトウェアにおけるデータ精度の設定によっては、データ互換性の問題が発生します。

例えば、データ精度が低いソフトウェアに、データ精度が高いソフトウェアで作られたデータを読み込んだ場合は、高いデータ精度を表現できないためデータに不具合が生じます。

また、内部的な処理は同じでも、ソフトウェアごとに保存ファイルの書式が異なるため、中間フォーマットを介さなくては、データを活用することができないこともあります。

 

CADfixのデータ変換機能であれば、各フォーマットに最適なデータ精度・書式への変換を自動で行い、異なるソフトウェア間でデータをスムーズに流通させることができます。

 

ここまで、シミュレーション準備工数削減に向けた、トピックスをいくつかご紹介してきました。解析対象によって、またはデータによって、発生する問題やその対処法が異なります。ご自身で判断がつかない場合は、弊社のようなベンダーの経験や知識を便利にご活用いただければ幸いです。

CADfixユーザー様は、どうぞご遠慮なくCADfixサポート(cadfix@idaj.co.jp)にご相談ください。

 

CADfixの機能については、以下の記事もぜひご参照ください。

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