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多目的ロバスト設計最適化支援ツール『modeFRONTIER®』Version4.2をリリース -「何が最適か?」から「なぜ最適か?」へ-

株式会社シーディー・アダプコ・ジャパンは、イタリアESTECO社が開発した多目的ロバスト設計最適化支援ツール『modeFRONTIER(モード フロンティア)』最新バージョン4.2を2010年4月にリリースしました。本バージョンでは、様々なダイレクトインターフェースの追加に伴って、CAE(Computer Aided Engineering)分野のみならず、実験、実機計測分野への適用拡大が容易となり、設計の原理原則の抽出を支援するCAP(Computer Aided Principle)機能(※1)も搭載されました。

現在、製造業を取り巻く環境は大きな変貌を遂げようとしています。自動車業界では、環境対策のための車体軽量化を含めた燃費向上、排出ガスの浄化対策に加え、ハイブリッド車・電気自動車に関する性急な動きが始まっているのはご周知のとおりです。その他の業界でも事情はほぼ同じで、厳しいCO2削減要求にいかに対応するのか、またBRICsをはじめとする新興市場に商品を受け入れられるようにするため、性能を落とさずに安く製品を供給するにはどうしたら良いかといったことが、最重要テーマにあげられています。いわゆる"極限"での研究開発、製品開発、設計が要求されるようになってきており、これは、まさにCAEなどによる最適設計技術なしには、製品開発ができない時代に突入しつつあるといっても過言ではないでしょう。このような時代背景を受け、最適化技術を研究開発や設計業務に取り入れようという企業が急速に増えています。

最実験、実機・計測分野への適用拡大

これまで、modeFRONTIERは、CAEソフトウェアと連携させることによって、最適解を導き出すという利用方法がほとんどでしたが、最近になって、実験データをうまく利用して、大きな成果を出されるところが徐々に増えてきています。
まず、一番活用されているテーマが、実験データとシミュレーションデータの合わせこみ(同定)です。実験データとシミュレーションデータとの差を目的関数にし、不明な物性データや解析条件を設計変数として、より実験データに合う物性値や解析条件を探索します。
次に、最近ポピュラーになりつつあるのが、計測機器などで取得した実験結果データをmodeFRONTIERに読み込み、modeFRONTIER内で、応答曲面法(以下RSM)と呼ばれる近似関数化によって実験式を構築し、実験の特性を把握するのと同時に、その実験式を用いて最適化計算を実行するというものです。また、最適化計算をしないまでも、RSMを利用することによって、実験結果の特性を調べ、ロバストな解領域を認識するなどの使い方も可能です。
さらに、自動車や家電製品における電子制御分野で、実機における制御パラメータチューニング自動化にも、modeFRONTIERはその力を発揮します。制御パラメータチューニング作業は、かなり手間のかかる作業ではあるのですが、意外なことに、この分野では、依然として手作業でパラメータチューニングをされることが多く、パラメータを振ってはやり直すという単純作業が繰り返されています。当然のことながら、modeFRONTIERは多目的最適化が可能ですので、この制御パラメータを入力変数に設定することで、複数の要件を満たすような制御パラメータを見つけだすのは、大変得意とするところです。数ヶ月かかってもなかなかうまくパラメータチューニングできなかったものが、わずか数日で実現できたという事例もあります。 modeFRONTIERには、MATLAB/Simulink(MathWorks社)のダイレクトインターフェースが装備されており、この分野ではよくご利用いただいておりましたが、最新のv4.2より、実機計測の分野で最も実績のあるナショナルインスツルメンツ社のLabVIEWとのダイレクトインターフェースも搭載されました。LabVIEWとの連携が取れることで、さらにこの分野でのご利用が増えるものと期待されます。さらにdSPACE社、Vector Informatik社、ETAS社など、実機計測分野で実績のある他のソフトウェアとも別ツールを介したり、もしくはテキストベースでの入出力などによって連成が可能です。

CAP機能の搭載

数値最適化の解は、トポロジーの異なる問題に対して可搬性がなく、全てやり直す必要があります。最適化は確かに業務効率を改善しますが、物理的な考察が伴わなければ、最適解はその解析モデルでのみ通用する単なる数字の羅列に過ぎなくなります。しかしCAP機能によって設計原理が抽出できれば、トポロジーの相違はもはや問題ではなくなり、さらに新しい発想に繋がる可能性も出てきます。つまり、最も重要視されるべきは、設計者がmodeFRONTIERなどの最適化ツールによって導かれた解が、「なぜ最適なのか」を知ることであると言えます。そういった検討作業を支援する技術が、CAP機能です。
多機能化し集積度のあがった現代の製品では、自由に設計可能な領域は限定され、もはや設計変数間に交互作用の無い問題はほとんど存在しないと言っても過言ではありません。設計の自由度が大きく、棲み分けが可能だった時代の製品設計には通用した従来の設計手法も、"交互作用の塊"のような現代の製品には、もはや適用不可能になってきています。CAP機能は、問題を複雑にしている、その交互作用の関係を明らかにし、物理現象に立ち返って設計原理を抽出する努力をすること、そして物事の本質を見極める力を養うことをサポートする機能です。CAPの活用によって経験と勘にもとづく知識の本質が解明され、原理原則にもとづいた、さらに高度な設計最適化が可能になるものと期待できます。
(※1)横浜国立大学大学院 于 強准教授が提唱されている設計支援技術。

『modeFRONTIER』Version4.2主な新機能

CAP機能搭載

20100419_modefrontier_01.gif
20100419_modefrontier_02.gif
クラスタ散布図
クラスタ散布図
クラスタ多次元解析チャート
クラスタ多次元解析チャート
CAP相関分析
CAP相関分析

ワークフロー

グリッドコンピューティングシステム搭載

Javaの並列分散実行環境ライブラリ: GridGain を実装し、ネットワークや分散実行の知識、スクリプト記述の手間など無くても、簡単にグリッドコンピューティングが可能になります。

グリッドコンピューティングシステム搭載
ダイレクトインターフェースの増強

LabVIEW、SFE CONCEPT、SolidWorks Simulation用インターフェース 他

ダイレクトインターフェースの増強

実験計画法(DOE)

直交表、ラテン超方格法の機能拡張
直交表、ラテン超方格法の機能拡張

最適化アルゴリズム

FMOGA-II、FSIMPLEXの探索性能強化

適応型RSMと仮想探査・最適化の組込みにより、早期収束を実現します。

AFSQP、NBI-AFSQPの新規追加 他

応答曲面(RSM)

RSMのバッチ処理機能の拡張
進化的デザイン機能の拡張

関数の形状を推定する機能で、実験式の推定に有用です。

多変量解析

主成分分析(PCA)、多次元尺度構成法(MDS)の結果処理機能拡張
自己組織化マップ(SOM)の機能拡張 他

その他、結果処理など

統計分析結果処理機能拡張
各種チャートの機能拡張 他
ESTECO社について

ESTECO社はイタリアに本拠地を置くエンジニアリング・コンサルティング企業EnginSoft社の子会社で、最適化に関するコンサルティングや『modeFRONTIER』の開発に特化した専門企業です。欧州の主要自動車メーカーや航空機、船舶業界に『modeFRONTIER』とエンジニアリングサービスを提供しています。その他詳細に関してはウェブサイトをご参照ください。(http://www.esteco.it/

*本文中に記載の会社名、商品名、サービス名等は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
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