産業技術総合研究所 様(CDAJ news vol.51)
人工心臓の研究開発に「STAR-CD」をご利用
独立行政法人 産業技術総合研究所 様
CDAJ news vol.51お客様紹介コーナーより抜粋
発行日 2008年3月
解析種別:流体解析
課題等:人工心臓、血液、医療機器、血栓、溶血
- まずは、人間福祉医工学研究部門人工臓器グループ様の役割についてお聞かせください。
- 私たちのグループでは、再手術をなくし社会復帰を可能にする、長期の生体適合性と耐久性を有し、安心安全に使用できる人工臓器の実現を研究目的としています。具体的には、流体力学特性、血液適合性および長期耐久性に優れた人工臓器を目指して、人工心臓を中心に、技術開発と技術評価を行っています。人工心臓や人工透析器などの医療機器の開発において、生体に重大な問題を引き起こす血栓形成(流れの淀みによる血液凝固)や溶血(著しい流れの変化による血球の破壊)を防止することはとても重要です。
人工心臓(図1) 血栓形成と溶血に対する流れの影響(図2) 省略 - ご利用いただいているSTAR-CDの御社における役割を教えてください。
- 人工心臓内の流れについて、速度場は流体性能に、せん断応力場は、抗血栓性や溶血指数に深く関連するので、STAR-CDにより解析することで、最適設計を行っています。人工心臓では、過度にせん断が低いときには血栓形成が生じ、逆に過度にせん断が高いときには溶血が生じるということがあります。あくまで目安ですが、血液ポンプ内では、せん断速度が100sec-1オーダー(インバースセカンド)以下の低せん断ですと血栓形成が生じ、100,000sec-1オーダー以上ですと溶血が生じるのではないかと考えられています。もちろん、血液がそのせん断に曝される時間、つまり曝露時間にも関係します。特に、材料壁極近傍のせん断応力場が重要ですので、壁せん断応力分布を計算して、よどみ域や高せん断域を取り除くように改良設計を繰り返しています。
流れの可視化評価技術(図3) 省略 - STAR-CDを使った解析事例をご紹介いただけないでしょうか?
- それでは、ピボット周りのよどみと血栓の関係を解析した事例をご紹介しましょう。
解析メッシュ図(図4) ウォッシュアウトホール(図5-a) 数値解析結果(図5-c) 数値解析結果(図5-d) 動物実験結果(図5-e)
せん断速度の大きさの違いが、血栓の形成・不形成と相関することが明らかになり、人工心臓における流れ解析の重要性が示された例になっています。 - STAR-CDをご利用いただいている理由について教えてください。
- STAR-CDを選択した理由としては、いくつかありますが、1番目は、人工臓器研究の研究者が多く使っているので、自分としてはデータの比較がしやすいことが挙げられますね。乱流モデルが数多く入っていたり、スライディングメッシュが使えたりと豊富な機能を持っていることが、STAR-CDが選ばれている理由だと私は思います。2番目は、技術サポートが優れていると思うからです。私自身、個人的には、いつも迅速で丁寧なサポートに大変満足しております。今後ともよろしくお願いいたします。
省略
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- 分野1:
- 熱流体解析