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Case Study実績・お客様事例

愛知工業大学 様(CDAJ news vol.54)

渦流の同定法の研究に「STAR-CD」をご利用

愛知工業大学
CDAJ news vol.54お客様紹介コーナーより抜粋
発行日 2008年12月

解析種別:流体解析
課題等:渦流、同定法、乱流、旋回関数場、チャネル乱流

省略
流体分野ではどういうことをやっていらっしゃるのですか?
流体に関する主な研究は
  • 渦流の定義と同定法(数値解析)の研究
  • 渦流の定義の統一理論の研究
  • 渦流関連の基礎研究(音等)と応用研究(最適化・最適設計)
です。流体というと、水やガスをイメージされるかと思いますが、非物質な流れ、例えば磁場の流れやエネルギーの流れも含んでいます。
やはり、メインは渦流(以下では渦と呼びます)の定義と渦の同定法における数値解析の研究ですね。渦は、エンジニアではなくてもよく知られた流れであり、万葉集にも歌われていますが、実はこの渦の物理的な定義は未だに確立・統一されていません。乱流は現代物理の難問の一つと言われていますが、乱流で重要な役割を果たしているのは様々なスケールの渦です。流体関連の設計でも渦が懸案となることが少なくありません。
この渦について、様々な定義が提案されていますが、その中で私は新しい物理量を定義し、またその物理量から流れの中の渦を抽出・同定し、その位置と強さを評価する数値解析法を提案・開発しています。この解析では、CFDに限らず、物質/非物質流れの実験データにおける解析も行っています。速度場からこの渦の解析を行うのですが、速度場を求めるCFDとして差分法やDNS、RANS(STAR-CD)を用いています。
渦の再現で困っている方や、開発者は多いと思います。また多方面に利用できる可能性がございますね。
はい。渦というのは流体関連の多くの分野に関わりますので。例えば、航空宇宙や自動車分野などの移動する構造物の性能や振動、音にも関わっていますし、流れの拡散や水路、エネルギー変換などにも出てきます。また、一言で渦とは言っても、設計において懸案の対象となるような性質を持つ渦と影響のない渦もあるでしょう。更に、微細な渦から鳴門の渦や銀河の渦などの様々なスケールの渦、非物質な流れの渦があります。私が研究しているのは、こういった様々な渦に対して適用できる渦の理論-定義と同定法を構築するというものです。
省略
非常に高度な研究にご活用頂き嬉しく思います。また、ご利用中のSTAR-CDですが、自作のコードとの使い分けはどのようにされているのでしょうか?
速度場を与える数値解析・CFDの一つとしてSTAR-CDを使わせていただき、渦を同定/評価する解析やアプリケーション的な解析、例えば流れの最適化や音源の評価などの解析では、自作のコードを用います。設計に用いる数値解析コードでは、コードのQA(品質保証)として、ISOやASMEが定めるQAシステムに従ったコードの開発を要求される場合があります。自作のコードでは、これらに準拠して開発を手がけることもあります。
省略
一方、STAR-CDが優れている点は大きく2つあると思います。1つは何と言っても「使いやすい」ということでしょう。自作コードですと、メッシュ作成や結果表示も苦労します。Pro-STARは、例え自作コードの解析であっても自由自在に結果を表示することができ、重宝しております。
もう1つは「適用分野の広さと実績」です。我々が研究した成果は、様々な工学分野で応用されることを期待するわけですが、その工学分野での適用実績が非常に多いということです。STAR-CDは国内だけでなく、全世界・多分野で使われていますので、STAR-CDを用いた我々の解析で有意な評価ができるということは、様々なフィールドにおいて有効である可能性が高いということを意味すると思います。
つまり、産業分野における適用範囲の可能性を検討する際に、市販ソフトであるSTAR-CDが活用されるということですね。
はい。更に、STAR-CDは市販コードではあるのですが、ユーザーサブルーチンを利用して、自作プログラムと連携を取ることが容易である点が嬉しいですね。渦などの解析や最適化など、他の解析法と組み合わせた連成解析、反復解法を容易に実現できます。ただ、STAR-CDはコードの中身が分かりませんので、出て来た解析結果が妥当なものなのかどうかを見極める目や判断力が必要となります。他の差分法・DNSなどによる解析結果と比べることによって、解析結果を評価する力をつける必要があると思います。
省略
まずこれ(図1) は一様流を伴う剥離渦の解析です。STAR-CDによる非定常解析で得られた速度場から渦流解析を行い、現在提案している物理量(旋回関数)の分布を求めることにより、渦の位置と強さがわかります(図2)。
CDAJ news vol.54
次の図3,4は、実験により測定した速度場(三菱重工業株式会社神戸造船所様ご提供)とその旋回関数場です。旋回関数場は幾つかの渦が存在していることを示しており、最も強い渦(図4中右下部の旋回関数の値が最も高い位置)における渦流れの様相を求めたのが図5になります。図6はチャネル乱流における渦の抽出例です。速度場は差分法で求めています(東京大学 松本・高木研究室 杉山先生ご提供)。これらの図は全てPro-STARで表示しています。
CDAJ news vol.54
CDAJ news vol.54
これらの解析の他に、STAR-CD、渦流解析と非線形方程式の解法を組み合わせた最適な流れの解析や渦音説による音源の解析なども行っています。
省略

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