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Case Study実績・お客様事例

京三製作所 様(CDAJ news vol.60)

ソフトウェア品質の向上に、「SCADE」を適用開始

株式会社 京三製作所 事業本部 信号事業部 様
CDAJ news vol.60お客様紹介コーナーより抜粋
発行日 2010年6月

解析種別:システム設計
課題等:安全仕様変更、信頼性、RAMS認証、コーディング、安全性解析手法

省略

ただ"品質の向上"のために編成された組織。

私は、信号事業部 企画部に所属していますが、主に国際規格のワーキンググループに入って活動したり、品質改善のための活動や、安全性解析手法の適用方法の教育などを行っています。そんな中で、"エラープルーフ化"を導入したシステム開発プロジェクトの経験を通して、成功事例を伝えていくことが重要だとも気づかされました。従来どおり、失敗要因を分析してピンポイントで修正をするということはもちろんですが、それよりも、成功事例から全体の流れをフィードバックして、他のプロジェクトに活かしたり、技術者のスキルアップに活かすことが大事だと考えて最近はアクションを起こしています。
組織的には異なる部門に所属される方々が、SCADEの導入をご検討いただいたのでしょうか?
組織上は異なりますが、SCADEという我々にとって全く新しいツールの導入を検討することは、既存の枠組みの中で対応できることではないと思い、2人に私が声をかけました。抜擢した理由は、「Cコードのコーディング経験がある」、「数式や英語に抵抗がない」ということです。私は、企画部に所属していますので、比較的自由に動ける環境を与えられています。
横断的にメンバーも選抜できるという、御社の組織編制に対する考え方が、反映されておりますね。さて、海外の案件に取り組まれることがあると伺いましたが、海外では、認証の取得が必須条件になってきているのではないかと思いますが、いかがですか?
日本とは事情が異なって、受注段階ではないにしても、最終的には、認証のためのドキュメントが必要になるケースが多いですね。そのためには、認証を念頭に入れたシステム設計が求められます。ヨーロッパはこの分野では先行しているので、それに付いていかなくてはいけません。
認証を取得するのは、そう簡単ではないと思いますが...。
おっしゃるとおりです。認証を取得するためのドキュメントを作成するだけでも大変な作業です。受注した段階で、組織体制や開発方法などを決めてプロジェクトを始動させなくてはなりません。ドキュメント作成作業などに、人の手や時間を掛けているのが現状です。開発途中で仕様変更や設計変更があると、ドキュメントを修正する作業も多く発生します。このあたりは、SCADEなどの支援ツールに期待したいです。
弊社でも、認証取得を普通の仕事とするための動きは始まったばかりです。とはいえ、今後、海外の案件が増えることが予想されるので、今からSCADEを導入して取り組んでおけば、来るべきニーズにも対応できるだろうと考えているわけです。
弊社では、比較的早くからRAMS規格の適用を考えた取り組みを始めていますが、規格に示されている各種手法について理解できていても、実際に適用できる人間は限られています。弊社では、主に私が実際の取り組みを担ってきたのですが、実プロジェクトに認証取得のプロセスを取り込むのはそう簡単なことではないと実感しています。

「フールプルーフ(エラープルーフ)」。 利用者が誤った使い方をしても安全な設計を。

それでは次に、SCADEを導入しようとお考えになった理由をお聞かせください。
実は最近、設計ミスの防護ができていない事例が目立つようになってきました。もちろん現状では大事に至ってはいませんが、私たちが扱っている製品は、「安全性と信頼性」を絶対的に確保しなければいけない製品です。そのような事例の発生は、侵してはならない領域にまでコスト削減・納期短縮の組織的な圧力が影響を与え始めていることの現れではないかという見方が、最近は説得力を持つようになりました。すなわち、組織優先で「上司を通せ」などという人間に対して、「会社の存続を考えたら、そんなことを言っている場合じゃないだろう」と言える状況になったということです。まさに新たなツールの導入が求められていると言えるでしょう。SCADE側から見ればチャンス到来といったところでしょうか(笑)。
人が作ったものには、やはりどうしてもミスはつき物です。ミスをするのは人間の特性と言われています。しかし、そのミスが及ぼす影響を私たちの製品においては、取り除いておかなければなりません。であれば、その人が作ったシステムを、システマチックに検証し、間違いのない製品に仕上げるために何が必要なのか?そう考えていたころに「SCADE」を知り、またタイミング的にも社内でSCADEのような開発方法を理解してもらう良いチャンスだと思い、導入についての検討を始めたわけです。
システマチックな検証は、まさしくSCADEが得意とする分野です。検討段階に上げていただいたときは、私も本当にうれしかったことを覚えております。では続きまして、実際にSCADEの適用を検討されているプロジェクトについてお聞かせください。
具体的には、2010年度から早速、実プロジェクトへの適用を始めて行きたいと計画しています。というのも、SCADE導入検討時に、国内のATC/ATSプロジェクトを例題にして、SCADE適用を前提にシステム設計をおさらいし、その結果から実際に担当者がSCADEでソフトウェア設計を行うという過程の中で、有用性が見えたからです。 第一候補として、 海外案件のK-CBTC(Communication Based Train Control)システムに適用できそうです。また、このシステムはRAMS認証が要求されるプロジェクトでもあるので、SCADE適用のメリットが十分に活かせると思います。その後、認証取得が今は必要とされていない国内のプロジェクトでも、ATC/ATSの車上装置を対象に、順次適用することを考えています。将来的には、組込み以外のシステムにも適用の可能性があるのではないかと考えています。
実プロジェクトに適用するとなると、色々と検討すべき点が出てきそうです。実ケースで、SCADEをすんなりと適用させられるかどうか、正直、未知数ですね。ただし、最初に基本機能やライブラリの使い方を十分理解していれば、実プロジェクトに適用するのは、それほど難しくないと思っています。また、仕様書を作成する人が、後工程のソフトウェア設計でSCADEを適用することを頭に入れて、仕様設計ができていれば、そんなに大きな問題にはなりそうにないので、あまり心配はしていません。
図1 SCADEで設計したATSモデルのシミュレーションテスト
図1 SCADEで設計したATSモデルのシミュレーションテスト
図2 NController(試作)
図2 NController(試作)
実プロジェクトへの適用が始まれば、技術サポートや教育などでお役に立てたらと考えております。ぜひ、お気軽にご相談ください。
省略

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