IDAJ

Case Study実績・お客様事例

ユタカ技研 様(IDAJ news vol.74)

サイレンサーをはじめとする製品開発プロセスに「設計者向けCAE」をご導入

株式会社 ユタカ技研 開発本部 栃木開発センター 様
IDAJ news vol.74お客様紹介コーナーより抜粋
発行日 2013年12月

解析種別:システム構築
課題等:設計者向けCAE、Excel、GUI、機能拡張、システム構築

省略

ユーザーライクなエクセルGUIで設計者システムを構築

設計者システム導入の背景について、簡単にご紹介ください。
ユタカ技研として商品力を向上させトップメーカーとなるためにはどうすれば良いのか、ちょうど具体的な方法を検討している頃でした。開発センターとして、この目標達成のためには、設計者と研究者、それぞれが商品提案力を向上させる必要があります。研究者は技術調査や先行開発による性能を優先とした提案を、設計者はお客様のご要望と性能・コスト等のベストバランスを考えた提案を行い、その相乗効果を発揮させることが商品力向上につながるはずです。しかし当時は、研究者は性能向上研究に没頭できない環境にあったり、設計者はお客様からの要望と研究者が提示する提案の板挟みとなり調整に追われる事態が散見されました。
ノウハウやデータベースの蓄積の方法もスマートではなく、技術的資産である過去のデータを十分に活かしきれなかったり、ベテランの経験や知恵を広く活用することもできていませんでした。つまり、商品力向上の両輪となるべき研究者と設計者の役割が、組織的またはシステム的な問題等によって正しく機能していないことがわかりました。
また、若い設計者は、知識や経験が浅く、そもそもベテラン設計者や研究者と同じテーブルで技術的な議論に加わることが難しいという問題がありました。さらに、開発のスピードアップに対する要求が年々厳しくなっており、これまでの開発プロセスでは対応しきれないかもしれないとも考えていました。
そこで、これらの問題や課題を解決する方策の一つとして、工数の削減や、若手設計者でも提案の根拠を明確にできる設計者システムを構築することにしました。
私は設計者の立場ですが、これまでのやり方ではブレイクスルーは期待できないと漠然と思っていました。3次元CFDに対しては、習得には時間がかかるし、ある程度のノウハウが必要であり、計算設定にも時間がかかるという印象を持っていたため、設計者が行なうには不向きだと決めつけていたところもあります。
それと同時に、お客様との打ち合わせなどを通して、お客様が盛んに1次元解析を活用されていることもわかっていましたので、開発のより速い段階から根拠のある案を提示して競合他社より抜きんでるには、専任者でないと扱いにくい3次元 CFDより1次元解析を活用するしかないと感じていました。それでも、少なからずオペレーションのハードルはあると予想されたので、影山や鈴木らの関連部署と相談して今回の設計者システム導入についての検討を始めました。
図1 設計者向けCAEシステム導入前の問題点
図1 設計者向けCAEシステム導入前の問題点
設計者システムに求める条件とは、どのようなものを想定されていましたか?
まずは、このシステムをサイレンサーといった排気系製品開発のプロセスに導入することにしました。設計者と研究者の「競争」と同時に「共創」による開発の実現、工数の短縮、試作レス開発への対応、若手設計者の育成を目的とした、技術的な議論の根拠となるCAE能力を備えたシステムにすることです。そのためには、解析結果がすぐに出てくるスピード、操作性の簡便さ、目的に応じた解析精度、将来的な機能拡張に対応できることがポイントでした。
目的に応じた解析精度とは、どういうことでしょうか?
弊社では長らく解析専任者が3次元CFDを行ってきましたので、1ケースあたり数時間かけて精度よく解析するノウハウを持っています。しかし、このシステムで導入する解析に、3次元CFDと同等の精度を求める必要はありません。つまり開発プロセスにおいては、どのフェーズでCAEを利用するかによって求められる解析精度は異なるということです。時間をかけて詳細で高精度な結果が必要なシーンと、高速かつおおよその傾向がわかれば良いシーンがあります。
「操作性の簡便さ」に、具体的な目安はありますか?
操作習得が1日以内であることが必要でした。つまり、これ以上の習得時間が必要であるということは、それだけCAEに関する技術と知識が必要であることを意味するからです。操作が複雑で、CAEの経験と知識が必要なシステムでは、設計者に広く利用してもらい、かつ、このシステムを定着させることは難しいと考えました。
そこで、エクセルをベースとしたシステムの導入をご検 討いただいた訳ですね。
はい、GUIがエクセルでなければ、このシステムの導入には反対しようかと思っていたところです(笑)。ユーザーライクなエクセルなら設計者は使い慣れていますし、各自のノートパソコンにすでに導入されていますので新しいツールを購入する必要がなく初期コストを抑えることもできます。
IDAJさんのカンファレンスで紹介されていたエクセルベースのGUI開発、設計者はエクセル上の決められたパラメータを入力するだけで、解析は設計者が計算していることを意識することなく高速に実行され、エクセル上に結果が表示される、これなら設計者にも受け入れやすいのではないかと思いました。
図2 エクセルベースの GUI開発のご提案
図2 エクセルベースの GUI開発のご提案
図2 エクセルベースの GUI開発のご提案
図3 流量・減衰量計算システム概要
図3 流量・減衰量計算システム概要

研究者、設計者、ベテラン、若手を問わず「CAE」という共通言語を使って技術的な議論を深めたい

続いて、システムの概要を簡単にご紹介ください。
開発プロセスをCAEという切り口でみると開発高速化とノウハウの活用を両立し競争力強化を実現したいというニーズがあります。そこで、設計者向けの高速CAEを導入することでスピードアップを図り、従来までのノウハウを蓄積したデータベースを合わせて活用することで、若手からベテランエンジニアまでが一体となって開発に取り組めるようにする。そうすれば、これまでに比べて飛躍的に競争力があがると考えました。また、若手エンジニアのアイデアを数値化することで提案根拠がわかることも、経験値を補うことができる大きな役割だとも思いました。GT-SUITEのベースとなるモデルは解析専任者が準備します。設計者は、エクセルシートに数値を入力して計算実行するだけで、モデルの作成は行いません。計算結果はエクセルにデータを読み込んでグラフで表示させます。
図4 システム構成
図4 システム構成
図5 操作イメージ
図5 操作イメージ
図6 結果イメージ
図6 結果イメージ
省略

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ご活用いただいている製品

分野1:
熱流体解析
分野2:
システム開発(解析システムを含む)
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