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Case Study実績・お客様事例

トヨタ自動車 様(IDAJ news vol.75)

WEC、SUPER GT、SUPER FORMULA向けエンジン・車両開発に「GT-SUITE」・「modeFRONTIER®」等をご活用

トヨタ自動車 株式会社 モータースポーツユニット開発部 様
IDAJ news vol.75お客様紹介コーナーより抜粋
発行日 2014年3月

解析種別:連成、筒内燃焼、多目的最適化、感度解析
課題等:エンジン開発、車両開発、気流計算、エンジン筒内、シェイクダウン、結果処理機能

省略

GT-SUITE、modeFRONTIER、CONVERGEをレース用エンジン開発に活用

モータースポーツユニット開発部様でCAEを導入されたきっかけをお聞かせください。
2002年のF1参戦以前から、CAEはレースエンジン開発に用いられていました。当時は、ハードウェア性能が現在とは比べ物にならない程低く、CAEが短い開発スケジュールに全くついていくことができない状況でした。私は、F1エンジン開発の解析エンジニアとしての経験を経て、2005年に当時のモータースポーツ部に戻ってきました。F1用エンジン・車両開発を通して、CAEの必要性や将来性を認識していたため、実績を積み上げることで、部内でその必要性を理解してもらうことから始めました。当部は比較的小規模ですので、設計、実験、解析の各担当者の顔が見える範囲で仕事をしています。私たち解析担当者もただ計算をしているだけでなく、実験に立ち会い、その物理現象を観察し、また、設計・実験担当者との綿密な打ち合わせを行うことによって、性能、信頼性向上および解析精度向上を継続的に実現してきました。
開発期間が著しく短いため、わずかな試作回数で様々な仕様を決めなくてはならず、設計完了時点で高いレベルでの初期性能も求められます。CAEやシミュレーションは、実機が無い段階で車両性能およびコンポーネント性能を高めるための必須の技術として、今では設計プロセスに完全に組み込まれています。
量産車両開発に比べてレース用の車両開発は、設計期間が短いとお聞きしましたが、おおよその開発スケジュールについてお聞かせください。
現在、WEC、SUPER GT、SUPER FORMULAの各レースに参戦していますが、エンジンは、WEC向け、SUPER GT・SUPER FORMULA向けの2種類、車両はWEC向け、SUPER GT向けの2種類があります。レース車両は毎年新車になるため、1年間でのレギュレーション変更対応も含んだ車両開発が必須で、レースシーズン中も設計変更を実施しています。そのため、翌年のレース仕様にあわせた設計に加えて、次に開催されるレースに向けてどうしても設計をやり直す必要が出てくることもあります。車両によっては、年間で複数回、モデルをアップグレードしています。走行テストの機会も限られているため、シェイクダウン(注:初期走行テスト)車がそのシーズンの競合力を左右します。
また、解析の用途によりますが、平均的に1車種あたり、詳細な3次元CFDでは数十ケース程度、エンジン諸元を求めるようなシミュレーションの場合は数百から数千ケースの計算を実行します。最適化計算を定常的に実施しており、解析ケース数はさらに増加する傾向にあります。
エンジン性能計算や3次元CFDとの連成計算には「GT-POWER」を、最適化には「modeFRONTIER」を使っています。また、最近は「CONVERGE」の使用も始めています。エンジン筒内の気流計算やプラグ周りの噴霧着火計算、これまで実現できなかった筒内燃焼計算への適用の可能性を探っているところです。

性能計算や3D CFDとの連成計算に活用(GT-SUITE)

弊社製品を数多くご活用いただき、誠にありがとうございます。
それでは、各ソフトウェアの活用テーマについてご紹介ください。
GT-POWERは、性能計算や3次元CFDとの連成計算に使用しています。エンジン筒内で3次元CFDとの連成計算というと体積効率やトルクを求めるのが一般的ですが、最近では燃料規制に対応するためにも利用しています。量産車と同じく、レース車にも燃料使用制限が課せられ、限られた燃料で速くかつ効率的に走る必要があります。そのためには、熱効率の良いエンジン諸元を探し、エンジン出力と燃費のバランスを取らなくてはならないからです。
図1 GT-SUITEを用いた解析モデル図
図1 GT-SUITEを用いた解析モデル図
GT-SUITEは、駆動系、燃料系、動弁系、冷却系など車両全体をモデル化した全体系シミュレーションに最適ですので是非ともご活用ください。また、最近では異なるツールで作成されたモデルを結合しシミュレーションを実行するプラットフォーム「xMOD™」もございますので、また改めてご紹介させていただきます。

プリ工程の使い勝手の良さが魅力!従来のソフトウェアでは適用できなかった新分野での取り組み(CONVERGE)

CONVERGEは使い勝手やモデルのハンドリングが良く、かつ実機との相関比較結果が初期段階から良好だったため気に入っています。これまでは、実機との検証計算が中心でしたが、今後は最新仕様にキャッチアップして、より詳細な検証を始めたいと思います。以前利用していたCFDソフトウェアでは操作を覚えること自体が大変で、気流計算しか実現できていませんでしたが、CONVERGEを使えばエンジンの着火、燃焼という新しい検討ステージへチャレンジすることができますので、今後の適用に期待しています。

数千ケースの最適化計算を実施!製品開発になくてはならないツール(modeFRONTIER)

modeFRONTIERは、常時複数ライセンスが稼働しており、多い時には7~8ライセンス使っています。GT-POWERと連成したエンジンパフォーマンスの最適化や、内製ラップライムシミュレーションソフトウェアとの連成、モーフィングを組み合わせた3次元形状の最適化などに適用しています。
夜間や休日を利用して、数千ケースという手動では実行できない計算数をこなし、人間が想像もつかないような形状やパラメータが探索でき、さらにそれらについて後から物理的な要因も理解することができますので、非常に有効的なツールだと考えています。各レースのレギュレーションは年々変わり、そのレギュレーションの中での最適解を見つけなければならないため、過去の知見を適用しづらい開発環境にあると言えます。しかも"超"短期間での開発が要求されますので、設計の方向性だけでもとにかく早く知りたい。パラメータの感度解析や、レスポンスサーフェースなどの機能を使っています。導入のきっかけは、ちょうど多目的最適化ツールを探していたところ、同じ部署の者が別用途で導入したmodeFRONTIERを"試しに使ってみた"ことです。操作性が良く結果処理機能が豊富で、最適解の探索業務での活用に大きな手ごたえを感じました。今や製品開発になくてはならないツールとなっています。

図2 modeFRONTIERを用いた最適化ワークフローチャート
図2 modeFRONTIERを用いた最適化ワークフローチャート
数多くのテーマで多くの製品をご活用いただき、誠にありがとうございます。
貴部署のみでmodeFRONTIERを7~8本も同時に使っていただき、また、新しい設計案なども発見されたとお聞きして非常に嬉しく思います。
CONVERGEは
  • 解適合格子(AMR)機能による計算精度向上と速度向上の両立
  • 完全自動メッシュによるプリ工数の大幅削減
  • SAGEやECFMなどの高度なエンジン燃焼モデルの標準搭載

など、エンジン設計者の方が求めていた機能が搭載されており、今後も貴部署でのご業務にお役立ていただけるものと確信しています。またGT-SUITEには標準で「CONVERGE-Lite」というCONVERGEの機能限定版3次元ソルバーが搭載されていますので、1D-3D連携の親和性も非常に高くなっています。あわせて是非ご利用ください。

省略

このインタビューの詳細は季刊情報誌IDAJ news vol.75でご覧いただけます。
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ご活用いただいている製品

分野1:
熱流体解析
分野2:
最適設計
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