IDAJ

Case Study実績・お客様事例

デンソー 様(CDAJ news vol.64)

エンジン用ECUの熱問題解決に「FloTHERM・FloTHERM PCB」「modeFRONTIER」をご活用

株式会社 デンソー 電子事業部 電子技術2部 技術企画室 様
CDAJ news vol.64お客様紹介コーナーより抜粋
発行日 2011年6月

解析種別:形状最適化、配置最適化、熱解析
課題等:フィン形状最適化、LabVIEW連携、配線パターン、EMC、エンジンECU、放熱対策

省略
FloTHERMやFloTHERM PCBを使ったシミュレーション活用は、すぐに成果を出すことができたでしょうか?
正直、使いこなすまでは、ずいぶん苦労しました。数百万円も投資して、成果が出ないなんてことになったら、どうしようかと...気をもみました(笑)。しかし、メンバーたちが、ツールを使うことだけを目的とせず、このツールを使って、どんな成果を出すか、具体的にイメージができており、それに向かって地道な努力を積み重ねてくれました。今となっては、FloTHERMなどのシミュレーションツールなしでは、設計ができないまでになっています。
確かに使いこなすのは大変ですが、立ち上げから導入までの、カリキュラムを含めたCDAJさんのサポートは好評でした。ユーザーが楽に覚えられるように工夫してくださっていると思います。数値解析アカデミーにも何度が参加し、活用させていただきました。その後も、相談すれば、何らかの提案を持ってきてもらえるのが助かっています。
図1 放熱設計の構築の背景
図1 放熱設計の構築の背景

シミュレーションの活用で工数を40%削減

ツールの導入がゴールではなく、ツールを使って出せる成果を具体的にイメージし、努力されることが重要であるということですね。非常に参考になるお話をありがとうございます。ツール導入後の効果としては、どのようなものがあげられるでしょうか?
ツール導入の主な効果としては、"工数低減などの設計のフロントローディング"、"結果に対する考察や、現象の分析が可能になること"、"客先へのプレゼンテーションでの利用"があげられます。シミュレーションを設計の上流段階から活用することによって、設計工数を約40%削減することができました(図1)。こういった指標は我々開発者にとっても、また、経営陣にとっても非常に重要な指標の一つとなります。ECUには数百もの素子があり、それらの配置等を人間の頭の中で計算することは不可能です。それがシミュレーションツールを使って、コンター図等で分かりやすく視覚化されると、技術者の理解を助けてくれます。解析結果を確認した上で「なぜこのような結果が出たのか」という理由を考えることができる、つまり結果の考察ができるという点は非常に意義のあることですね。
図2 「シミュレーションと実験値」比較結果
図2 「シミュレーションと実験値」比較結果
実験で"測れば"結果は出ます。ただ、乱暴な言い方をすれば、それまでなんです。また、実験には誤差も伴いますので根拠を明確にすることができません。理由を、分析して、考察しないと技術は蓄積されません。私自身、最初から、シミュレーションには高い精度を求めてきました。そのためには、設定方法を緻密に検証し、現在では150以上もの報告書にまとめました。言い換えれば、これだけの知見を蓄えることができたということです。熱解析では、試作と実験は欠かせませんが、これに頼ってばかりでは開発コストや期間が増大するばかりです。シミュレーションツールを活用することで、開発の初期段階で放熱設計の検討ができ、コストを引き下げるメリットが見込めます。しかし、これも、従来のように設計の方向性を決める程度で、精度を問わない定性的な解析にとどまっていては効果にも限りがあります。
図3 解析作業の流れ
図3 解析作業の流れ

機械系エンジニアと電気系エンジニアの融合─「エレ・メカ協調設計」の実現。

弊社でも以前から「エレ・メカ協調設計」というコンセプトを、ユーザーの皆様に広くご提案させていただいています。御社のように実際に成果をあげられたお客様のお話は、他のユーザー様にも大変参考になるものと思います。精度を確保するためには、どんな動きが必要でしょうか?
一般的に、機械系のチームと、電気系のチームが別々の部署にあると、熱シミュレーションをどちらの部隊が引き受けるかという組織的な問題が出てきます。ある素子の発熱量が知りたいと尋ねても、適当な値が返ってくることもあるでしょう。しかし、私の部署では、機械系のエンジニアと、電気系のエンジニアが同じ組織内で業務を担当しており、実験もシミュレーションも同一の組織内でこなすことによって、より効果を出しやすい環境にあるのかもしれませんね。
省略

modeFRONTIERとFloTHERMの連携で素子レイアウトの最適化を実施。

御社ではmodeFRONTIERもご活用いただいています。この、ご利用状況についてお聞かせください。
現在適用している主なテーマは、"素子レイアウトの配置最適化"、"フィン形状最適化"です。特に素子の配置検討において、modeFRONTIERは重宝しています。配線パターン、EMCなどの検討材料を考慮して、手作業で数百もの素子を配置するのは不可能ですからね。計算手法としては、最初の段階では詳細モデルにはこだわらず、全体に大きく影響を及ぼす部品を選び、省略できる部分は、思い切って切り捨てます。そして、1ケースあたり10分程度の計算を目安に、約800ケースの最適化計算を実施します。そこから得られた最適解候補から、さらに精度を上げていきます。
ここで注意しなければならないのは、熱問題においてベストの解が、他の要件においてベストではないということです。ベターな最適解候補が複数見つかればよいと考えています。その後、各設計部署内で様々な制約条件について話し合いながら最終的な設計案を決定していきます。また、最近では、解析と非常に相性のよい統計分析手法もうまく使いこなせるようになりました。各パラメータによる素子温度の寄与率を調査し、各素子温度に最も寄与する設計変数を見極め、放熱対策を行っています。modeFRONTIERには、寄与率の計算以外にも自己組織化マップなど多くの統計分析手法が搭載されていますので、今後も活用したいと考えています。また、FloTHERMだけでなく、LabVIEW(筆者注:ナショナルインスツルメンツ社製)との連携など、実験設備を絡めた最適化にも取組んでいきたいと考えています。是非CDAJさんにもお手伝いいただきたいと思いますので、よろしくお願いします!
図4 素子温度寄与率計算
図4 素子温度寄与率計算
図5 素子レイアウトの最適化(1)
図5 素子レイアウトの最適化(1)
図6 素子レイアウトの最適化(2)
図6 素子レイアウトの最適化(2)
省略

このインタビューの詳細は季刊情報誌CDAJ news vol.64でご覧いただけます。
ユーザー登録済の方はユーザーサポートセンターからダウンロードできます。

ご活用いただいている製品

分野1:
熱流体解析
分野2:
最適設計
ユーザーサポートセンター 無料で資料請求