IDAJ

Case Study実績・お客様事例

三菱電機 様(IDAJ news vol.87)

多種多様な熱流体システム技術構築に「iconCFD」・「FloTHERM®」・「modeFRONTIER®」・「CONVERGE」をご活用

三菱電機 株式会社 先端技術総合研究所 熱流体システム技術部 様
IDAJ news vol.87お客様紹介コーナーより抜粋
発行日 2017年3月

解析種別:熱流体解析、形状最適化、システム技術構築
課題等:モーター、部品配置、空調冷熱、制御機器

省略
本日はお忙しいところ大勢の方にお集まりいただき、誠にありがとうございます。まず、皆様がご所属される部署のご紹介とCFDやCAEの位置づけについて簡単にご説明ください。
私どもが所属する開発本部には、国内研究所として、先端技術総合研究所、情報技術総合研究所、デザイン研究所の3つの研究所があります。先端技術総合研究所には、1つの開発センターと5つの技術部門があり、パワーエレクトロニクス、電気、機械、メカトロニクス、環境、材料、エネルギー、デバイス、システムソリューション、映像・表示など全社製品の主に「ハードウェア」の研究開発を担当しています。情報・通信を核とした「ソフトウェア」の研究開発を担当するのが情報技術総合研究所で、デザインの研究開発を担当するのがデザイン研究所です。これら3つの研究所は、弊社のR&Dの中枢であり、"次に求められる技術とは何か"を考えながら、常に未来に目を向け、事業を支えています。
弊部のミッションは、CFD技術の高度化による強い事業の創出と、事業領域の拡大に貢献することにあります。業務用・家庭用の冷熱機器、自動車用各種機器、モータ、発電機、エレベーター、制御機器など、ありとあらゆる弊社の製品を対象として、それら製品の機能や寿命に直接関わる熱、流れ、音の課題に関する技術開発を行っています。製品開発の設計プロセスにおいて、モノを作って試作し、実験評価するという検証手段の一つの代替として、CAEを取り入れています。CAEは、実験での評価が困難であったものを明らかにすることもできますので、これによって、革新的な製品の開発につなげていきたいと考えています。しかしながら、現時点では、全ての熱流体現象をシミュレーションすることは不可能ですので、実験と補完しながら活用しています。
また、計算機の発展によって、2020年には現在のスパコンレベルのコンピュータが社内で使えるようになることを想定して、その基盤技術の開発にも取り組んでいます。将来を見越しての研究開発においては、弊社の力だけでなく御社のご協力も不可欠だと思っていますので、これからもご協力お願いします。

汎用的な技術を構築し製品開発に貢献。

はじめに、多数の製品やサービスをご愛顧いただいておりますこと、心より御礼申し上げます。
さて本日は、様々なご活用事例の中から、電子機器に対する冷却設計にmodeFRONTIERとFloTHERMをご利用いただいた事例と、FOCUSスパコンにおけるiconCFDのベンチマークテストについてご説明いただけるとお聞きしています。まず、電子機器に対する冷却設計にmodeFRONTIERとFloTHERMを適用いただいた事例からご紹介ください。
modeFRONTIERとFloTHERMを使った事例は、昨年、IDAJさんの「FloTHERM Conference Day」で発表させていただきましたので、ここで簡単にご紹介します。皆様すでにご承知の通り、電子機器開発においては、製品のコンパクト化、コスト削減とともに、製品の高機能化に伴った出力向上による発熱量の増加から、発熱密度の増加を招いています。そこで、冷却器に加えて、基板上の部品配置の最適設計が必要となってきました。今後の技術構築のために最適化ツールの活用が必須であると考え、modeFRONTIERとFloTHERMを導入し、早速、業務で必要になった自然空冷ヒートシンクの形状最適化にトライしてみました。最適化の計算条件は、入力変数に内側フィンの枚数、ベースの厚み、フィンの高さ、フィンの厚みを設定し、幅、長さ、全体の高さは固定値として、最適化計算を実施、最適形状を抽出することができました。
続いて、基板上の部品配置の最適化計算にも取り組みました。FloTHERMで熱解析を行ったところ、一部の部品が許容温度を超過することが予測できたため、modeFRONTIERと連成させて、基板最大温度の最小化を目的関数として計算してみました。

大規模計算、ユーザー数の増加、多拠点化などに対応できるCFDツールを

ありがとうございました。続いて、FOCUSスパコンにおけるiconCFDのベンチマークテストについてご紹介いただきたいと思います。まず、iconCFDをご評価いただいている動機や背景についてお聞かせください。
ここ数年、熱流体解析業務は増え続けており、解析を担当する人員も増加しています。また、各製作所から当研究所に対する解析依頼も、製品の一部を解析するのではなく、製品まるごと解析して欲しいという要望を多く受けるようになりました。さらに、従来であれば解析に特化した簡易モデルでの解析で良かったものが、より製品に近い精緻なモデルでの解析を要求されるケースが増えました。現在は、汎用ソフトウェアで解析しているのですが、課題数やユーザー数の増加、モデルの大規模化にCAEソフトウェアのライセンス数が追いつかない状態が続いています。コストもそれなりにかかりますので....そこで、オープンソースソフトウェアに注目するようになりました。 新しいソフトウェアを利用する場合には、その精度検証を含めた評価が欠かせません。そこで、ユーザー数の増加や多拠点化、大規模化までを見据え、オープンソースベースであるiconCFDを導入し、検証と評価に取り組むことにしました。
効率的に大規模な計算を行うためには、並列化することによって計算を高速化する必要があります。しかし、高並列なスパコンの利用においては、一般的な汎用ソフトウェアが動かない、動いたとしてもライセンスコストがかかる、効率よく計算できずチューニングが必要になるといった問題がよく議論されています。そこで、今後のスパコンの利用検討も含めて、計算科学振興財団様にご協力いただき、FOCUSスパコンにおけるiconCFDのベンチマークテストを実施させていただくことになりました。
それでは、簡単にベンチマークの内容と結果について解説していただけますでしょうか。
同一形状の流体解析モデルを用いて、メッシュ数と並列数を変更し、iconCFDによる流体解析を実施しました。ここでは、収束までに要した時間ではなく、実行開始から500イタレーションまでの計算時間で評価しました。環境は、通常運用中のFOCUSスパコンのAシステムとDシステムです。他のジョブの影響を考慮して、原則3回の繰り返し測定を実施し、平均をとりました。解析対象は、iconCFDの標準ベンチマークで用いられるレーシングカーモデルの外部流れとし、時速200kmの走行状態を仮定しています。おおよその解析メッシュ数は、2,000万、1億、5億の3種類です。
図1 解析メッシュ(約1億メッシュのケース)
図1 解析メッシュ(約1億メッシュのケース)
図2 解析結果(約1億メッシュのケース)
図2 解析結果(約1億メッシュのケース)
今回は、最大約1,000並列までの解析を実施したのですが、大規模な解析になると、全てのコアを使って計算するよりもむしろ、ある程度コアを間引いた方が、計算速度がかなり速くなる場合があることがわかりました。こういったスパコンでは、使用するノード数と時間に応じて課金されますので、利用者として、計算時間の短縮が見込めるのは非常にうれしいことです。
ベンチマークテストの結果を受けて、今後は御社内でどのような分野に適用されるお考えでしょうか。
当初より実製品開発への適用を目指してきましたので、まずは空調冷熱の分野から活用を進め、技術構築をしていきたいと考えています。今後その他の分野へも適宜拡大していきたいと思います。
省略

このインタビューの詳細は季刊情報誌IDAJ news vol.87でご覧いただけます。
ユーザー登録済の方はユーザーサポートセンターからダウンロードできます。

ご活用いただいている製品

分野1:
熱流体解析
分野2:
最適設計
ユーザーサポートセンター 無料で資料請求