IDAJ

Case Study解析事例集

パナソニック 様(IDAJ news vol.95)

コストまで考慮した現実的な設計提案に「modeFRONTIER®」をご活用

パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 インダストリアル事業開発センター様
IDAJ news vol.95お客様紹介コーナーより抜粋
発行日2019年3月

省略
2015年からご検討を開始され、2016 年にmodeFRONTIERをご導入いただきましたが、導入時の選定理由を簡単にお聞かせいただけますか。
後でご紹介しますが、例えばヒートシンクの放熱性能を最大化するために形状の最適化に取り組む場合、手作業で様々なパラメータを振って、計算することは可能ですが、それでは人的工数がかかる上に、複数の目的を同時に満たすトレードオフ関係を把握するには不十分です。やはり最適解の探索には専用のツールがあった方が良いと考え、いくつかの最適化ツールを試用させていただきました。 ツール選定時には、パレート最適解に到達するまでのスピード、つまり最適化アルゴリズム性能ですね、それに加えてコストや技術サポートをポイントとしました。その結果、modeFRONTIERを選択しました。

形状最適化や発熱量推定など、効果検証に基づいたソリューションのご提案のために活用

それでは、早速ではございますがmodeFRONTIERを用いた事例のご紹介をお願いします。
まず、ヒートシンクの形状最適化の事例をご説明します。
工場や施設、エンジンなどの排熱を利用した温度差発電より、環境フレンドリーなエナジーハーベスティングへの取り組みが求められていますが、そのアプリケーションの1つに熱源に熱電変換デバイスを用いた発電があります。今回はそこで使われている装置のヒートシンクが対象です。
図1 エナジーハーベスティングアプリケーション
熱解析モデルをこちら(図2)に示します。ヒートシンクのパラメータは、フィン幅、フィン間隔、土台厚みの3つです。土台厚みは、熱電変換デバイス(註:ペルチェ)の上部分にあたります。
図2 熱解析モデル
最適化アルゴリズムには、広域探索と局所探索の各々に適した手法を組み合わせたハイブリッド手法で、RSMと実計算を内部で自動的に判断して切り替えることによって、解の探索効率と安定した探索性能をあわせもったpilOPTを適用しました。設定項目は「評価回数」のみで、初期サンプルすら必要ありません。実際、探索性能は一般の発見的手法をはるかにしのぎ、流体解析や非線形構造解析などの計算時間がかかる最適化問題には有用だと思います。
フィン幅、フィン間隔、土台厚み、それぞれのパラメータを決定し、配置可能なフィン枚数を算出します。その後、CFDの実行ファイルを作成し、解析を実行します。そのCFD結果を元に、ヒートシンクの質量を計算し、ペルチェ両端の温度差を導出します。目的関数は、ヒートシンクの質量最小化、ペルチェ両端の温度差最大化です。
最適化の結果は、以下に示す通り、ヒートシンクの形状変更で、最大16%までペルチェ両端の温度差を改善することができました。
図3 最適化計算結果
図4 最適ヒートシンク形状
続いて発熱量の推定にmodeFRONTIERを適用した事例をご紹介します。
弊社のご提案は、弊社の商材だけをご紹介するのではなく、お客様の製品全体に対する対策デバイスや最適設計手法のご提案、新たな機能の創出に向けた新設計手法のご提案などが含まれており、定量化・見える化といった効果検証に基づいたソリューションをご提供しています。こちらは、その一例です。
図5 デバイスアプリケーション活動
スマートフォンメーカー様に対して、PGS(註:Pyrolytic Graphite Sheet、高配向性グラファイトシート)をご提案するにあたり、その効果をシミュレーションで検証しました。実測データをベースに、熱解析モデルを作成し、実機に近い温度分布傾向をシミュレーションで再現しましたが、内部部品の正確な発熱量がわかりません。そこで、従来のシミュレーションにmodeFRONTIERを組み合わせることによって発熱量を推定したわけです。
PGSは、カーボンの中のグラファイトの一種で、特殊な分子構造の高分子フィルムを高温で熱分解し、単結晶に近い構造を持つ、高熱伝導性とフレキシブル性のある弊社が初めて開発した熱伝導シートです。熱を素早く拡散させ、電子機器を熱から守ることができます。
図6 最適化計算の背景
図7 PGSの特徴
PGSの効果をシミュレーションするにあたって、6つの部品の発熱量と目標値を設定しました。CPUの発熱量は、3.147から6つの部品の発熱量総和を引き算して決定します。それを元にCFDの実行ファイルを作成して計算を実行、CFD結果から7つの部品の二乗和(註:Σ(計算値-目標値)² )を算出し、これを最小化します。この一連の作業を、modeFRONTIERを用いて自動化し、最も目標値に近づく各部品の発熱量を探索させました。 結果、高精度に各部品の発熱量が予測可能であることを確認することができました(図10)。
図8 熱解析モデル
図9 発熱パラメータ部品の発熱量と目標値
図10 結果の比較

人的工数の削減は大きなメリット。今後は、シミュレーションの適用領域の拡大がねらい。

modeFRONTIERのご導入前後ではどのような変化がありましたか。
最適化計算の自動化という面からは、圧倒的に手間を減らすことができました。2つ目にご紹介した発熱量の推定では、これまで、手作業でのトライアンドエラーを繰りかえし、1週間程度かかっていたものが、modeFRONTIERを用いることで退社時に計算実行して帰れば朝には結果が出ているという状況になりました。もちろん、最適化計算を始める前に多少の手間はかかりますが、解析モデルのモデリングが不要になるというのは大きな効果です。また、パレート解が見られることも最適化ツール導入のメリットだと思います。
今後はどのような展開をお考えでしょうか。
1つ目にご紹介したヒートシンクの事例を元に、水冷ピンフィンの配置や径、高さをパラメータにした最適化も実施しました。また、長期的には熱とノイズの連成にも取り組んでいきたいと考えています。“熱”対策としてはできるだけ空間を開けたいのですが、“ノイズ”対策としてはできるだけ空間は閉じたい。このような最適化を行うには、それぞれのシミュレーション精度を担保しつつ、異なるツールの連携や解析時間の短縮などが課題になりますので、アプローチ方法を検討していきたいと思います。
省略

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