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回路・基板設計者向け熱設計支援ツール『FLO/PCB V4.1』リリースのお知らせ

株式会社シーディー・アダプコ・ジャパンは、このたび、Flomerics Group PLC社で開発された回路・基板設計者向け熱設計支援ツール『FLO/PCB(フローピーシービー)』の最新バージョン4.1を2007年9月7日(金)より日本国内においてリリースします。

電子機器の熱問題が重要視されてきている昨今、解析専任者のみではなく設計段階において設計者が熱設計を取り入れることが重要となってきました。構想・概要設計段階を上流、量産を下流としますと、下流に行けば行くほど熱対策に要する費用は指数的に増大し、設計後戻りによる時間のロスも大きくなります。ましてや量産してからリコールなどが発生した場合は、それに要する費用は莫大です。

『FLO/PCB』は、電子機器専用熱設計/EMC設計支援ツール「FLOTHERM-SUITE」の1つで、プリント配線基板の開発期間を大幅に短縮することができる独創的かつ画期的なツールです。『FLO/PCB』のコンセプトは「操作は簡単、しかしながら高機能」。多忙な設計者でも容易に操作習得ができるようにモデル作成・周囲条件設定の手順を大幅に簡素化、解析メッシュ作成をユーザに全く意識させない完全自動メッシュ生成機能、そして1980年代から電子機器の熱設計分野におけるパイオニアであり、現在では世界シェアNo.1である「FLOTHERM」ソルバーを搭載していますので、高精度な解析を実現します。特に解析初心者の方が戸惑われることが多い周囲条件の設定は、予め用意されている環境に必要な数値を入力するだけで設定できます。さらに、詳細設計の段階における高度な解析も可能となるよう「FLOTHERM」にモデルデータを渡せるようになっており、設計者と解析者とのモデル共有、連携作業が容易となります。

最新バージョンでは、部品パッケージモデル作成ウェブサービスオプション「FLOPACK」が標準で使用可能となり、ウェブ上で簡単に新規パッケージモデルを作成できるだけでなく、そのモデルを簡易化する機能も有していますので解析時間の短縮につながります。また、「Allegro(※1)」とのインターフェイスオプションも標準で利用でき、「Allegro」と双方向にダイレクトでデータの交換が可能となりました。封止材料の設定が可能になりましたので、例えば、防水のためにゲルなどで基板を覆っているようなケースの解析も可能です。さらに、配線層の温度分布をメニューからダイレクトに表示できるようになり、マウスカーソルで指定した点の温度を数値表示する機能も追加されましたので、断面温度を結果表示させて、任意の場所の温度を容易に数値で確認することができます。

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特徴

1.操作が簡単・容易

多忙な設計者でも容易に操作を習得できるよう、解析設定は最低限の操作に抑えられており、習得にかかるトレーニングも3~4時間程度となっています。

2.部品情報インポート機能

基板CADによるIDFフォーマットを用いて、部品形状、位置情報、熱抵抗(θjc、θjb ※2)を一括して『FLO/PCB』に取り込む事ができます。また、CSVフォーマットを利用して部品情報や発熱量(消費電力)をまとめて素早く編集できます。

3.高性能なフィルタ機能によりメッシュ数を削減し解析時間を大幅に短縮

部品パッケージのサイズ、発熱量、発熱密度、部品名などのパラメータと、それらの論理演算(論理和(OR)、論理積(AND))との組み合わせによって、フィルタをかけることができます。フィルタの条件に一致する部品は省略され、メモリ消費量や計算時間といった解析規模の大幅な削減が可能となります。また、省略された部品の発熱量は、それが搭載されていた側のプリント基板の面に対して一様に与えられるため、総発熱量に変化を及ぼしません。

4.「FLOPACK」へのダイレクトアクセスが可能

ボタン1つをクリックすれば、ウェブ上で部品パッケージモデルを作成するツール「FLOPACK」へダイレクトにアクセスでき、パッケージ種類、サイズ、発熱量などを会話形式で入力すれば、希望のパッケージモデルが完成します。2抵抗モデル(※3)、 詳細モデル(※4) DELPHI(※5)モデルの3種類が作成可能です。

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5.解析環境設定機能

JEDEC(※6)標準実験環境をはじめ5種類の周囲条件が予め用意されています。周囲温度、重力方向などを指定するだけで、周囲条件が簡単に設定できます。5種類の周囲条件は以下のとおりです。

  • 静止空気(開放空間)
  • 静止空気(壁面接触)
  • 一定流速(開放空間)
  • 一定流速(スロット内)
  • リフロー炉(温度変化)
6.目的によって選べる2種類の解析タイプ

簡易解析モード"Thermal Trend Prediction" と、詳細解析モード"Accurate Thermal Prediction"があります。例えば、構想段階においては傾向のみを比較解析し、実際に部品配置が定まった段階で詳細解析を実施すれば、解析をより効率的に活用でき、開発期間の短縮の一助となります。

7.簡単な操作で、高機能な結果表示

部品の平均温度、ケース温度、ジャンクション温度、および、基板面と平行な面での温度コンター図、風速ベクトル図の表示や、レポート自動作成が簡単な操作で実行できます。複数の解析結果を同時に表示することもできるので、設計変更の比較検討に威力を発揮します。

8.発熱量逆算機能

2抵抗モデルにおいては、IC部品のジャンクション上限温度を指定すると、解析結果からその上限温度を越えない許容発熱量を逆算する機能があります。上限温度に達するまでの発熱量の余裕を予測したり、逆に、解析値が上限温度を超えた場合は何W発熱量を減らさなければいけないのかを見積るのに非常に有用です。

※1:Cadence社製プリント回路基板設計用EDAシステム
※2:θjc ・・・ジャンクション(チップ)-ケース間の熱抵抗 [K/W] θjb ・・・ジャンクション(チップ)-ボード(基板)間の熱抵抗 [K/W]
※3:上記のθjc およびθjb を用いて構成するパッケージモデル
※4:熱抵抗で構成するのではなく、実際の形状をモデル化したもの
※5:DELPHIは(DEvelopment of Library of Physical models for an Integrated design environment)の略で、欧州連合の電子機器メーカーが中心となって電子部品の熱設計のための標準化モデルを推奨したプロジェクトです。そのプロジェクトによって作成された10数個の熱抵抗を用いて解析精度が向上するように工夫されたモデルです。
※6:Joint Electron Device Engineering Council(電子部品の標準化を推進するアメリカの業界団体。260社以上が加盟している。「米国電子工業会」の一部門)
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Flomerics Group PLC社について

1988年英国ロンドンにて設立され、1989年世界ではじめて電子機器専用熱流体解析プログラム『FLOTHERM』をリリースしました。その後、1990年代半ばに部品パッケージの詳細モデリングツールである『FLOPACK』を画期的なウェブベースのサービスとして提供開始したのを皮切りに、1999年にはKCC社の買収によりFlomerics社内にEM部門を設立、2000年にはシステムレベルのEMC対策をターゲットとした『FLO/EMC』をリリースして、現在の熱対策/EMC対策統合ツールとしての『FLOTHERM-SUITE』を完成させています。その他詳細情報についてはウェブサイトをご参照ください。(http://www.flomerics.com

*本文中に記載の会社名、商品名、サービス名等は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
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