汎用熱流体解析プログラム『STAR-CCM+ V5.06』リリースのお知らせ ~3D CAD機能搭載!寸法変更を含むパラメトリックスタディまで完結~
株式会社シーディー・アダプコ・ジャパンは、CD-adapcoで開発された汎用熱流体解析プログラム『STAR-CCM+(スター シーシーエム プラス)』の最新バージョンV5.06を、2010年11月日本国内においてリリースしました。
『STAR-CCM+』は、ハイエンド熱流体解析ツールと呼ばれる市販ツールの中で、最もよく利用されているツールのひとつです。最新バージョンには、ご利用のお客様からのご要望も数多く反映され、また一歩"複合的な"エンジニアリングツールへと近づきました。
今回のバージョンアップでの大きなトピックスは、4つあります。
まず初めは、離散要素モデル(Discrete Element Modeling:DEM、図1)が搭載されたことです。これによって、流動床や粉体の攪拌など,粒子流れの解析が可能になりました。粒子は、球形粒子か複合粒子として扱うことができ、粒子間相互作用や熱移動も考慮することができます。なお、本モデルはオプション機能(別途有償)でのご提供ではなく、標準機能としてご利用いただけます。化学、医薬品、材料関係など粒子や粉体の流れを扱う分野で効果を発揮すると考えます。

2つ目は、Abaqus連成シミュレーション機能(図2・3)が搭載され、これによってAbaqusとの直接連成が可能になったことです。これは、STAR-CCM+とAbaqusが同時に稼働している状態で、サードパーティーツールなしでデータ交換を行ない直接連成する機能です。我々の身の回りには、風や水の流れにより変形する構造物や、熱により変形する物体など、流体と構造が密接に相互作用を及ぼしている系が多く存在します。
この機能を使えば流体と構造が相互に影響を及ぼすような、非定常双方向の流体構造連成解析も簡単な設定で実施することができます。STAR-CCM+にも応力解析機能がありますが、Abaqusを使用することにより、非線形問題など専用の構造解析ソフトが持つ機能をフルに活用し、問題を解くことができます。


3つ目は、流体騒音解析機能(図4・5)の拡張です。走行する自動車に周りの空気流が影響して発する音や、各種のファンなどから発生する音など流体騒音と呼ばれる現象が多く存在し、その様な騒音の対策が、製品設計における重要なテーマになっています。これら、流体騒音問題を解析する機能が強化されました。
また、本バージョンより、Ffowcs Williams-Hawkings法(FW-H)による音響伝播の解析が可能になりました。これにより、流体場から放射される音場を計算し、遠距離での音圧レベルを求めることができます。また、バンドパスフィルタやバンドストップフィルタなどの信号処理機能も追加され、音響解析機能の充実が図られています。既に実装されている広域帯騒音源モデルとともに様々な音響解析に、適応できるようになりました。


最後は、電場解析機能(図6)の搭載です。近年、特に電気自動車やバッテリー、その他電気製品の小型化などにより、電磁気問題や製品の熱対策が重要になっています。この様な問題に対応するために、新たに電場解析機能が加わりました。
この機能では、固体、液体に対して、静電場、動電場の解析が可能です。また、電流が流れることによるオーム加熱も考慮できるため、熱流れの解析と組み合わせて、デバイスの発熱による温度計算などにも適応できます。

その他の新機能ならびに機能拡張は以下のとおりです。
STAR-CCM+ CADクライアント
CADに統合された熱流体解析ツールSTAR-CADシリーズが、リニューアルしました。使いなれたCAD画面でモデリングなどの設定を行ない、メッシャーやソルバーは、STAR-CCM+と連結されます。設計者の皆様にはCADオペレーションの延長でご使用いただき、簡単にCAEを実施することができます。このバージョンで対応しているCADは、(1)SolidWorks 2009 & 2010 (2)CATIA V5R19 (3)NX 6 & 7 (4)Pro/ENGINEER Wildfi re 4 & 5です。
その他の物理モデル
- 混相流
自由表面の波モデルに、JONSWAP & Pierson-Moskowitzの不規則波のモデルが使用可能になりました。
また、オイラー混相流で、高粒子濃度での固体圧力のモデルが追加されました。 - 燃焼、化学反応
ラグランジェ混相流とPCFM燃焼モデルが併用できるようになりました。また、熱発生をフィールド関数で取得できるようになりました。
さらに、粘性係数、熱伝導率、拡散係数などの輸送物性は、気体分子運動論に基づいて定義されるオプションが追加されました。 -
その他
その他、ハーモニックバランスや熱交換器モデルの拡張もなされています。
メッシング・可視化
メッシングや可視化の分野でも多くの機能が追加されています。
- モデリング
自3D-CADで、ボディのミラーリング(対称移動)ができるようになりました。また、パーツのブーリアン演算ができるようになりました。
さらに、サーフェス修正やサーフェスラッピング機能も拡張されています。 - メッシュ細分割
フィールド関数を元にメッシュを細分割する機能が追加されました。一度計算を実施したモデルに対して、物理量の勾配が大きい部分を細分割するといった解適合格子に対応することが可能です。また、ポリヘドラルメッシュ作成時のオプションとして、粗いメッシュから段階的に細分割して作成する手法を選択することができるようになりました。この手法は、直接細かいメッシュを作成する方法に比べてより高速に、より少ないメモリでメッシュを生成することができます。 -
可視化機能
ひとつのシーンの中に、注釈として別のシーンを挿入することができるようになりました。
CD-adapco について
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London Office: 200 Shepherds Bush Road, London, W6 7NY, United Kingdom
Telephone: (+44) 20-7471-6200
CD-adapcoは、流体・熱移動・応力など広範囲なエンジニアリング・シミュレーション(CAE)ソリューションの世界有数のプロバイダーで、主な拠点はロンドンとニューヨーク、その他世界中に拠点があります。STAR-CD/STAR-CCM+ は世界で最も多く利用されているCFDソリューション、またSTAR-CADシリーズはCAEコンサルティングの分野における25年の経験に裏付けられた使い勝手の良いCAD内蔵の製品としてCD-adapcoの多彩なソリューションへの入り口となる製品です。その他詳細情報についてはウェブサイトをご参照ください。
(http://www.cd-adapco.com)