GT-AutoLion熱による電池性能と経年劣化シミュレーション
特徴
電気化学反応・熱プロセスの連成モデルを実装
リチウムイオン電池内部で起こる電気化学反応は、温度の影響を強く受けます。また、電池温度は充電・放電に伴う電気化学反応における発熱に応じて変化します。さらに、リチウムイオン電池は適正な温度から外れると急速に劣化するため、温度管理が重要です。このため、リチウムイオン電池性能を予測するモデルは、この電気化学反応プロセスと熱プロセスを同時に考慮した支配方程式を連成させて解く必要があります。
AutoLionは、リチウムイオンセル内の熱・電気化学プロセスを物理モデルベースで予測的にモデル化します。また、その高速で信頼性の高い電気化学シミュレーションは、あらゆる動作条件下での、あらゆるリチウムイオン電池の熱・電池性能などの予測に役立ちます。

EV工学に適切な最新鋭の物性データベース
AutoLionには、以下のような有益な物性データベースが組み込まれています。
- 正極は8種類、負極は3種類のそれぞれ典型的な正極材・負極材のデータベース
- 広範囲の濃度や温度などにおける精度の高い物性データ
- 電極の物質を混合させて電池の性能を調査

GT-SUITEと同等のGUI
電池設計のパラメータ入力、運転条件や解析条件の設定、結果処理まで、GT-ISEやGT-POSTと同じく柔軟に処理することができます。また、GT-ISE標準のCase Setup、DOE Setup、Design Optimizerの設定や制御系機能も使用することが可能です。

劣化モデル
GT-AutoLionには劣化予測モデルが搭載されており、一般に劣化の要因といわれるフィルム層の成長、リチウムの析出、リチウムイオンが電極を出入りすることによる電極結晶構造の破損といった物理現象を考慮することができます。このため、新品状態から徐々に劣化してゆく様子を再現することができ、劣化の段階に応じて、バッテリー容量や充放電特性の変化を予測することができます。

劣化・寿命モデル
GT-AutoLionでは、以下の劣化・寿命モデルを実装しています。これらのモデルによって、リサイクル運転や経年による劣化、電力の劣化を物理モデルとして予測することができます。
- Cathode活物質孤立化モデル
- Anode活物質孤立化モデル
- Anode SEI層成長モデル
- Cathode被膜成長モデル
- Anodeリチウム析出モデル

様々な連成機能
GT-AutoLionは、GT-SUITEはもちろんMATLAB/Simulink、FMUなどと連成することができます。これによりシステム上における電池性能、劣化の予測や電池を含めたシステム全体の温度予測を行うことが可能になります。

その他バッテリーモデルと電池特性ツール
GT-AutoLionには、物理モデルベースのバッテリーモデルだけでなく、マップ・等価回路モデルベースのバッテリーモデルや等価回路モデルのパラメータを同定する電池特性ツールを実装しています。
