PILLAR 様(IDAJ news vol.124)
開発・業務プロセスの効率化、予測精度の高度化に向けて、IDAJの各種コンサルティング・サービスをご活用
株式会社PILLAR
技術本部IT・DX推進部 様
IDAJnews vol.124お客様紹介コーナーより抜粋
発行日2026年6月
解析種別:流体-磁場連成
課題等:時間短縮、開発効率化、最適化、サロゲートモデル、精度向上、モデルベース開発、MBD、AI
省略
- PILLAR様からは多くのお仕事をご依頼いただいております。今日は、お話をお聞きするのを楽しみにしてまいりました。
- 私が所属している、技術本部 IT・DX推進部で担当している複数の技術テーマの中から、皆様にもご興味を持っていただけるようなお話ができればと思い、今日は射出成形の製造プロセスの効率化と磁気浮上ポンプ開発におけるモデルベース開発についてご紹介させていただきます。
弊社では、ふっ素樹脂の射出成形技術を活用し「スーパー300タイプ」と呼ばれる、高いシール性能を有するふっ素樹脂の継手製品を製造しています。おかげさまでこの製品は、高いシェアを有しています。
さて、射出成形の製品製造プロセスの効率化検討にあたっては、いくつかのアプローチが考えられます。その中から、成形条件の細かな設定をAIにより最適化することを目指した取り組みについてご説明します。射出成形では、溶かした材料を高圧で金型に注入しますが、その過程において温度や粘度といった材料状態が時間経過や成形の繰り返しにより変化します。これに伴い、初期に設定した圧力条件などが最適でなくなり、製品不良の要因となる場合があります。そこで、この課題に対し、材料状態に応じた適切な設定値をAIに学習させることで、各種設定項目を自動的に最適化し、常に良品を得るための設定値へと自動制御する仕組みが構築できればと考えました。本構想の実現に向け、関連部門を巻き込みながらコンセプトの具体化を進めました。また構想設計から実用レベルでの実装には高度な技術力が求められる内容でしたが、現在ではProof of Conceptを完了し、生産現場での運用の一歩手前まで到達しております。 - 加えて現在は、AIを活用し不良品ゼロの実現に向けた、良否判定技術の仕組みづくりに取り組んでいます。取り組みは順調に進んでおり、第三者評価において、構築したAIの良否判定精度が100%に近いことを確認でき、生産現場への展開に大きな自信を持っています。
- 詳細のご説明をありがとうございます。
“不良品をゼロに”という本質的な目的を理解し、仕組みの実装にとどまらない提案と実行力を評価
- 続いて、磁気浮上ポンプ開発についてもお聞かせいただけますか。
- 磁気浮上ポンプの開発は、弊社にとって大きなチャレンジとなるプロジェクトです。磁気浮上ポンプは、回転体を磁場によって非接触で支持・回転させることで、摩耗やコンタミネーションを抑制する装置です。特に半導体や医薬品など、高純度流体を扱う分野では非常に有効な製品として知られています。一方で、電磁界、流体、構造、制御といった複数の物理現象が強く関係し合うため、設計難易度が非常に高いことで知られています。
社長から直々にこの開発を指示された当初は、難しい開発になるなと大きな不安を感じましたが、我々が担当する以上は主導的な役割を果たし、効率的に開発を推進すべきだという思いを持ちました。また社内に技術を蓄積し、将来に何かを残すことを目的に完全な独自開発の道を選択しました。さらに最新のシミュレーションやAIを活用して、他社特許の回避が可能か、性能とコストの両立が図れるか、挙動を適切に制御できるかといった点を、事前に机上で見極めることにこだわりました。これらは、開発スピードとコストの両面において重要なポイントであると考えたからです。 - 開発にあたっては、どのような課題がございましたか。またそれらをどういったお取り組みを通じて解決されたのでしょうか。
- 開発初期には、コストと性能の両立、競合他社の特許回避、制御技術の確立、流体設計という、大きく4つの課題がありました。これらの課題解決に向けて、特に注力した活動にフォーカスしてご説明します。
まず、磁気浮上ポンプで特徴的な浮上制御の問題です。ある方向では、磁力で制御できても、別方向では磁力での制御手段がなく、流体設計によって安定化させる必要があります。ここが非常に難しい点でした。流体制御については、流体の挙動を徹底的にモデルベースで検証しようということになりました。しかし私たちは、ポンプやモーターの解析経験が乏しかったため、都度、理解を深めながら研究開発を進めました。結果的に、開発期間の短縮と新たな技術力の獲得を実現することができました。
また、モデルベース開発では、膨大なケースの磁場-流体連成解析結果が必要ですが、CAEだけでは計算時間がかかりすぎます。そこで、各解析をサロゲートモデルに置き換えて計算することにしました。サロゲートモデルの作成、ベースデータの収集・解析、modeFRONTIER®との連成などを、一つ一つ精度を担保しながら着実に進めました。CAEのみの場合と比べて、最適化計算に要する時間を大幅に短縮することに成功しました。 - ここまでご説明した取り組みを含む多くの検討を経て、結果として、コスト、性能、特許というすべての観点で成立する見込みが立ち、無事に開発を本格化させ、現在では最終ゴールが見える位置まで到達しています。
今回のプロジェクトは、おそらく、シミュレーション技術やデータサイエンスが今より発達していない10年前であればこの期間での開発は不可能だったと思います。 - 普段のご業務に加えて、研究者としての成果を論文発表されているとお聞きしています。ご研究の内容を簡単にご紹介いただけますか。
- 「Subgrid-scale model derived from the lattice Boltzmann equation」というタイトルで、格子ボルツマン方程式から導出した、新しい乱流モデルに関する論文を発表させていただきました。この論文は流体力学分野におけるトップクラスの学術誌であるPhysics of Fluidsに掲載され、その中で“Featured article” (注:掲載論文の中から特に優れた内容、あるいは分野をリードする影響力を持つと米国物理学協会編集局に認められた論文に与えられる称号)に選ばれました。この論文で発表した新しいモデルは、フィッティングパラメータが存在しないという特徴があり、また漸近展開に基づく構造モデルであるGradient modelに精度面で上回ることを数値的に確認しました。このモデルの検証において、IDAJさんにご協力いただきました。現在もこのモデルに関する発展的な内容を執筆中です。自身のプライドを懸け、結果を世に示したいと考えています。
モデルベースによって、高難度製品の開発へ挑戦
製品開発の伴走者として、IDAJの提案力や実行力を評価
省略
このインタビューの詳細は季刊情報誌IDAJ news vol.124でご覧いただけます。
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ご活用いただいている製品
- 分野1:
- 熱流体解析
- 分野2:
- 最適設計、機械学習・ディープラーニング(AI)
