はじめに

＜基調講演＞粘着・剥離現象の多階層モデリングと可視化・モデル化・数値解析の融合的アプローチ（ 国立大学法人東京大学 大学院 農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 准教授 山口 哲生様）
【発表概要】
粘着剤の粘着・剥離現象は、やわらかい高分子が複雑な変形を伴いながらエネルギー散逸を増幅させ、剥離への巨大な抵抗力を生み出す、多階層的な動力学現象である。一般に、分子動力学法や有限要素法などの正攻法はほぼ通用しない。本講演では、可視化実験、理論モデル化、簡略化されたモデルを数値的に解く数値モデリングを融合的に用いることで、限界を打破し、現象の再現や予測が可能となった事例をご紹介する。当日は、実際の問題に適用する際の利点や問題点などを議論しながら進めたい。

最適化を活用した低周波遮音板の開発（積水化学工業株式会社 様）
【発表概要】
近年、低周波(100Hz前後)遮音のニーズが増している。本発表においては、1次共振周波数(f1)を最大化する事により、低周波遮音板の開発を行った経緯を紹介する。まず、平板を初期形状としたビード最適化を行い、f1最大化のための形状を探索した。次に、その形状を成形可能な形状に単純化した後に、寸法最適化を実施した。得られた最適形状をRPで作成し、遮音試験を実施したところ、十分な低周波遮音性能を確認できた。

休憩

コンプライアントメカニズムを活用した小型月面探査車部材の改良（三菱ケミカル株式会社 様）
【発表概要】
コンプライアントメカニズムとは、弾性のある素材でできた構造をしなやかに変形させることで動きを得るような機構のことである。弊社では、このコンプライアントメカニズムの考え方を月面探査車の部材へ適用し、重量の大幅な増加を回避しつつ、耐衝撃性を向上させるような構造設計を行った。また、Freeform Injection Molding法を活用することにより、スーパーエンジニアリングプラスチックを用いた射出成形による複雑形状の造形を実現した。本報告では, これらの取組みのうち、Abaqusによる衝撃解析事例を中心に紹介する。

免震装置－鉛プラグ入り積層ゴム支承（LRB）の熱力学連成解析（オイレス工業株式会社 様）
【発表概要】
鉛プラグ入り積層ゴム支承（LRB）は、薄いゴムと鋼板の積層体に鉛を封入した免震装置で、建物が受ける地震力を低減する効果がある。積層ゴムは高い剛性で建物を支持しつつ、地震時には水平方向に大きく変形し地震の揺れを逃がす。鉛は積層ゴムの変形に塑性変形で追従し、地震の振動エネルギーを吸収する。この変形は発熱を伴うため、特性が変化する。
今回は、積層ゴムの大変形、鉛の塑性挙動および温度依存性を考慮した連成解析について紹介する。

休憩

Abaqus x CSTによる構造/熱/電磁場マルチフィジックス解析の最新手法（IDAJ）
【発表概要】
SIMULIAの新ライセンス体系「SRU」は、AbaqusやCST Studio Suiteなど複数の解析ツールを共通ライセンスで柔軟に利用できる仕組みです。
本セッションでは、SRUの概要とその活用方法を紹介するとともに、Abaqus、CST、熱解析ソフトを連携させた構造・熱・電磁場の連成解析アプローチについて解説します。