地球温暖化対策として、日本だけでなく北米や欧州、中国などの地域や国ごとに独自のCO2排出量や燃費規制が設けられており、その規制値はさらに厳格化していくことが予想されます。自動車メーカー各社は、様々な角度から規制をクリアするための対応を検討していますが、ブレークスルーを求めたり、チャレンジングな新技術を取り入れる場合には、過去のものづくりにおける経験を生かすことができないという困難に直面します。そこで様々な物理現象を正確にとらえ、複雑化する製品開発を支援するのが実用レベルに耐えうるシミュレーション技術です。

本セミナーでフォーカスするのは、車両熱マネージメント領域の一つ、乗員の快適性に関わる車両空調システム開発におけるいくつかのテーマです。

エアコンの使用が車の実用燃費に与える影響は大きく、重要な課題となっています。実車では、車室（キャビン）内の温度変化に応じて、適宜制御されるオートエアコンが広く普及しているため、エアコン負荷を適切に見積もるには、キャビン内部の温度分布を高解像度に捉える必要があります。最近は、MBDツールを活用した車両空調システム（エアコン）の解析が可能となり、車両全体の熱マネージメントモデルの一部としてエアコンモデルを組み込み、エアコンが燃費に与える影響を計算する機会も増えました。ニーズが高まる燃費（航続距離）と快適性のバランスを考慮した車室内空調のシミュレーション技術についてご紹介します。
また、ドライビングサイクルにおける各種走行性能を予測するには、特定運転条件下だけでなく、実際の走行状況を考慮した、よりリアルな机上検討が求められるため、現実の交通状況を考慮したルートを生成し、そのルート上を車両モデルを使って走らせることで実運転状況下での検討を可能にする「GT-RealDrive」についてもご説明します。

プログラム・講演内容(予定)

※スケジュールは予告なく変更になる場合がございます。何卒ご了承賜わりますようお願い申し上げます。