IDAJ

Solutionソリューション

材料設計

材料選択

1997年に京都議定書が合意され、2008年から2012年の間にGHG(Greenhouse Gas、温室効果ガス)排出量を平均5%削減することが求められました。ここでいうGHG排出量には、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどが含まれますが、中でも排出量が圧倒的に多いCO2(二酸化炭素)がその代表格だと言われています。

ZERO EMISSION 2050

続く2015年のパリ協定では、2030年までにGHG排出量を40%削減することを求められ、その後も2019年の欧州グリーン・ディール、2021年のIEAロードマップと様々な協定や目標が掲げられました。また、企業としてSDGsに取り組む流れは一部の上場企業だけでなく中堅企業へも急速に広がり、企業としてSDGsに取り組むことは避けて通れないことであり、生き残るための死活問題となりうるとさえ言われるまでになりました。
製品設計における材料選択にあたっては、カーボンフットプリント(※)削減やカーボンニュートラル、SDGsへの貢献という観点から積極的な検討・選択がなされています。

(※)Carbon Footprint:商品やサービスの原材料の調達から生産、流通を経て最後に廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したもの

アラミドファイバーやカーボンファイバー、複合材といった新材料が日々開発・製品化され、購入・利用できるようになりました。また、カーボンニュートラルに関わる、関わらないを問わず、規制物質は断続的に増加し、定期・不定期に規則が見直されています。さらに地域ごとに異なる規制内容によっても、材料選択または代替材料検討の難易度は高まっています。
一方で「製品に関連する環境負荷の80%以上は、製品の構想設計段階で決定される」と言われる通り、製品設計の初期に、製品・生産・梱包・物流を含む使用を考慮した持続可能性に関して決定することは、市場投入までの時間、品質・コストに大きな影響を与え、リコールやコンプライアンス違反の際のペナルティ、ブランドイメージの毀損といった経営にとって重大なリスク回避・軽減にもつながります。
前述の通り、選択肢は爆発的に増加し、規制物質への対応も避けては通れないため、これまでの方法での材料選択はもはや適当ではありません。
Ansys Grantaは、これらの問題をスマートに、素早く、簡単に解決するためのソリューションです。

  • カーボンニュートラル設計:持続可能な設計に役立つ一元化された材料データ
  • 全社的な規制物質のコンプライアンスリスク管理
  • トレードオフ評価をしつつ軽量化のための代替材料を検討
  • 製品のカーボンフットプリントを最小化するための代替材料探索
材料情報の包括的なライブラリに含まれる関連情報例

コンプライアンスに則ったサステイナブル材料の選択

  • 複数材料の検索と比較
  • 4,100以上の材料データの可視化
  • 材料リストの作成
  • CAD・CAE・PLMシステムへの材料データ出力
材料情報の可視化例(横軸:コスト、縦軸:CO2フットプリント)

設計のリスク軽減と報告義務の遂行

  • グローバルな法規制が部品表(Bill of Material:BOM)に与える影響を評価
  • 代替材料探索時の意思決定支援
  • 様々なフォーマットやレポートでの材料情報の出力
法規制の影響を受けている問題例(2022年現在)
部品表(BOM)からダイレクトに製品リスクレポートを作成

カーボンフットプリント検討

Ansys Granta Selectorの補助ツールの一つに、カーボンフットプリントを検証するためのエコ診断ツールがあります。

  • 原材料、製造、輸送、利用(貯蔵)、排気といった製品ライフサイクル全体の環境負荷の評価
  • 設計初期段階での活用を重視し、入力情報は最小限
  • ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment:LCA)の原則を適用
  • what-ifシナリオとその影響を簡単に比較
  • 必要情報入力のためのわかりやすいガイダンス
製品ライフサイクル全域のイメージ
Ansys Granta Selectorに搭載された様々なツール群
製品ライフサイクルのステージ別のCO2排出量評価

導入事例

【事例1】自動車の燃費向上
お客様の目標
  • トランスミッションのクロスビームの軽量化による燃費向上
トランスミッションのクロスビームの軽量化による燃費向上の図1
ソリューション
  • Ansys Granta Selector
  • 数千もの材料データへのアクセス
  • CAD/CAE用の材料データを容易に作成
  • 設計サイクルの早い段階で不適格な材料を排除
得られた成果
  • サプライヤーからのシミュレーション可能なデータ提供によって、より適切で正確なシミュレーション結果を得ることができた。
  • Al 357-T6からPA66-60%GFへ変更することで、コストと剛性を維持しながら、部品重量を45%軽量化できた。
トランスミッションのクロスビームの軽量化による燃費向上の図2
【事例2】よりサステイナブルな包装材設計
お客様の目標
  • CO2排出量のより少ない電子部品の包装材の選択
ステイナブルな包装材設計の図1
ソリューション
  • Ansys Granta Selector
  • 包括的な参照データ:信頼性が高く統計的に検証された、様々な材料グレードや形状の情報にアクセス
  • 可視化:コスト、機械的特性、熱的特性、環境的特性といった競合する特性要件のトレードオフを迅速に特定
得られた成果
  • 包装材がCO2排出量と衝撃強度に与える影響を理解できた。
  • サプライヤーが提案した材料(PHA)では靭性が低く、目的を達成できないことがわかった。
  • 市場投入までの時間短縮:設計者は「代替」材料の候補を最大でこれまでの2倍程度早く特定することができた。
  • CaCO3をより多く含む材料の選択によって、設計に必要な機械的要件を維持しつつ、CO2排出量を10%削減できた。
ステイナブルな包装材設計の図2
【事例3】環境に配慮したオフィスチェアのデザイン
お客様の目標
  • 現設計の製品のCO2排出量の主要因を特定する
  • チェアの基礎部材の素材変更によって、よりサステイナブルな設計を達成する
環境に配慮したオフィスチェアのデザインの図1
ソリューション
  • Ansys Granta Selector
  • 環境負荷の原因になっている部品を特定する実用的なレポートを作成
  • エンジニアがライフサイクルインパクトを正確に評価できる
得られた成果
  • 対象製品のエネルギー消費量の68%は原材料である“アルミニウム3004“で占められていることがわかった。
  • 低衝撃鋼板への移行によって、エネルギー消費量を41%削減した。
  • 誤った材料決定によって生じる設計のやり直し回数を削減できた。
環境に配慮したオフィスチェアのデザインの図2
【事例4】マスク用フィルターのリサイクル
お客様の目標
  • フェイスマスクのフィルター回収と再利用プロセスの最適化と検証
環境に配慮したオフィスチェアのデザインの図1
ソリューション
  • Ansys Granta Selector
  • 材料の加工条件との適合性を判断するための製造・加工データベースの提供
得られた成果
  • 溶かして成形するリサイクル方式に適さない材料を除外することができた。
  • 医療グレードのフィルター材料を利用できることがわかった。
  • 製品のリサイクル性を高めることで、ライフサイクル全体での製品のカーボンフットプリントを70%削減できた。
環境に配慮したオフィスチェアのデザインの図2
【事例5】ハイテク産業における充填用途のためのサステイナブル材料の検討
お客様の目標
  • 接着特性を満たす持続可能な生分解性材料の選択
  • アンダーフィリングやチップ封止用材料の均一性の確保
ハイテク産業における充填用途のためのサステイナブル材料の検討の図1
ソリューション
  • Ansys Fluent
  • 表面張力を考慮したロバストな多相流解析
  • はんだの凝固・溶融を考慮した流れ解析
  • 樹脂やエポキシ材料などの高度な材料特性のモデル化
得られた成果
  • 信頼性問題のリスク低減。
  • 10~15%程度のカーボンフットプリントの削減。
  • エポキシ樹脂流動による圧力で変形する配線や積層チップの保護。
ハイテク産業における充填用途のためのサステイナブル材料の検討の図2
【事例6】飲料用ペットボトルのカーボンフットプリント検証
お客様の目標
  • 総エネルギー(エコレベル)の最小化
  • 酸素の透過を最小化
  • コストの最小化
飲料用ペットボトルのカーボンフットプリント検証の図1
ソリューション
  • Ansys Granta Selector
  • エコ診断ツールでの迅速で多角的な検証
得られた成果
  • 環境負荷の高度な評価を迅速に行うことができた。
  • 最も大きなエネルギー消費量が材料であることがわかった。
  • 影響を25%以上削減するための戦略を検討することができた。
  • 従来よりさらに肉厚を薄くする目途が立てられた。
  • 将来的に再生材料の含有率の向上が期待できる。
  • 新素材のメリットとデメリットの認知することができた。
飲料用ペットボトルのカーボンフットプリント検証の図2
ユーザーサポートセンター 無料で資料請求