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Solutionソリューション

輸送・製造関連産業

カーボンリサイクル・マテリアル

2050年カーボンニュートラルに向けて、太陽光や風力発電といった再生可能エネルギー、原子力、水素・アンモニアへの燃料転換といった非化石電源の拡大と研究が進んでいます。
しかし、どうしても化石燃料を使用しなければならない、または総合的な評価で化石燃料を使用した方がよい場合があります。このとき、そのプロセスで生成されるCO2を、いかに効率的かつ安価に回収し利用するか、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage: CO2回収・利用・貯留)の技術も開発されています。

以下は、CCUSの有力な方法の一つである化学吸収法のプロセスを、CAE技術を用いて再現した例です。化学吸収液を多孔質体に浸漬させ、CO2を吹き込むことによってCO2を化学溶液に吸収させます。
この事例では、Ansys Fluentの混相流モデルと相間の物質移動(液への吸収)モデルを使って、複雑なCO2吸収の現象を捉えています。

また、再生可能エネルギーによって発生した熱をその場で利用する技術は、電力への変換や送電等のロスを伴わないことから、電気利用と比較して効率が高く、エネルギー利用形態の多様化を図ることが可能だといわれています。たとえば、工場の未利用熱や太陽熱をその場で電気や冷熱に変換する 熱音響エンジンは、可動部を一切もたないため、長寿命・低コストを実現することができます。これを発電機として活用できれば、宇宙用の電源や廃熱利用発電機、太陽光発電機としての利用が期待されています。また冷凍機として活用することで、天然ガスの液化装置や低温(60-280K)を生成する装置としての利用も検討されています。

1次元のシミュレーションに対応可能な、マルチフィジックス・システムシミュレーションツールGT-SUITEを使用して、熱音響エンジンのモデルを作成しました。
このモデルでは、スタック片側を冷却し、もう片側を加熱することでスタックに温度勾配を与え、スタックとの伝熱による作動ガスの膨張と圧縮に起因する自励振動を発生させています。なお、FFT解析で得られた周波数より、1波長がループ管長になっていることがわかります。このモデルを機構モデルと連成させ、熱音響エンジンで発生した音波を動力とする熱音響発電の検討を行うことができます。

カーボンニュートラルを達成するには、再生可能エネルギーの活用や各産業において大規模な脱炭素システムの開発とともに、私たちの日常の生活においても貢献できることがあります。その一つのアプローチが、今では一般的な取り組みになりつつある、プラスチック製の使い捨て容器や包装の削減です。プラスチック製の使い捨て包装容器は、弁当・惣菜容器や飲料のカップ、使い捨てのカトラリーなど多岐にわたりますが、それらを生産しているメーカーでも、削減に向けた様々な取り組みが始まっています。

エスプレッソコーヒーメーカーを手掛けるイタリアのイリー社は、modeFRONTIERを用いて、コーヒー豆カプセルの形状を最適化しました。このカプセルはエスプレッソの抽出に直接使われるため、コーヒーの味を保つために抽出中の水温に注意する必要があります。そこで、水温を適温に保ちつつ、カプセルに必要とされるプラスチックの使用量を最小化する形状設計を検討しました。
modeFRONTIERによる最適化計算の結果、カプセル1個あたりに使用される樹脂量を0.35g削減することに成功しました。このカプセルは年間100万個以上生産されるため、全体でのCO2削減効果は数100トンに相当します。

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